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2011年5月21日土曜日

性暴力:女子を被害者にしない。男子を加害者にしない。

@@@やまねこ通信86 @@@

 性暴力:女子を被害者にしない。男子を加害者にしない。

 フレッシュマンゼミという授業は、諏訪東京理科大学の一年生の必修科目
である。
一人の教員が学科まぜこぜ1516人の学生を担当。

前期15回の授業の中で、キャンパスライフに必要な基本的コミュニケー
ション、チームワーク、自発的課題発見などの習得に向かう科目。

教員にとっては「人間力」が問われる授業である。

共通教育センターの女性教員たちは、保育園見学、地域の働く女性の話を
聞くなどの行事を取り入れて来た。

男子が圧倒的に多いキャンパス。

けれど学生が卒業して出て行く社会は、女子男子が混ざりあった社会であろう。
男性も女性も、職業をもち、その中でカップルを作り、子育するだろう。

その時、妊娠出産は女子の身体に起こるけれど、生まれた子どもの子育て、
家事、介護の仕事は、男子も同じ比重で参加できるし、
する必要のある時代である。

終身雇用が終わったこの国では、共働きで、互いの将来を担保し合うことが
必然となったのだから。


ところで昨年、事が急を告げる事件が起こった。
隣県の山梨大学のキャンパス内で、男子学生が女子学生にナイフで重傷を
負わせる事件が起こった。

また熊本では学生が幼い女児をスーパーのトイレで殺害し、リュックに詰めて、
山に運んだという事件があった。

これ以外にも、ストーカー行為、携帯での執拗な交際申込など、新聞のベタ
記事は、今日の若者たちの一面を雄弁に物語っている。
どの事件も、学生は、何ら特別のことのない、一般的な学生であると
伝えられている。
 
言い換えると、こういうことであろう。
どの学生が加害者、逆に被害者になってもおかしくない現実がどのキャンパス
にも始まっているということではないか。

このことを、今、われわれ大人たちが知っている。
知っていたら、何らかの対策なしでは済まされないだろう。

信大では、昨年の山梨大の事件を受け、今年度の新入生ガイダンスの
時期に、「防止プログラム」を組み込んだという。

山梨県立大学でも、対応プログラムを開催したと聞く。

第一に、女子を被害者にしないこと。
同時に、男子を加害者にしないこと。

このことが社会の大人たち、大学という教育機関に課せられた、
目下の急務なのである。

これが急務であるのは、第一に、純粋に教育的観点からである。
若者を教育する機関としては、在学4年の間に、学生を犯罪被害者や
加害者にする蓋然性が濃厚である事態を放置することは許されない
からである。
卒業後、社会人となってからの行動の可能性までを思考の射程に収めても
いいだろう。

第二には、大学の経営的観点からである。
今日の大学は、あらゆる意味で、受験生、保護者、高校、予備校、さらに企業
などの社会的評価に対し、最大の神経を使っている。

いったん、事件が起こったら、そのスキャンダルがもたらす社会的評価の下落
から再び立ち上がることができるだろうか。
就職活動の在学生が受けるマイナス影響力は計りしれないだろうし、
それ以上に、大学は次年度の受験生の出願状況に気を揉まねばならない
だろう。

伝統ある大規模国立大学でも対策に追われる中、小規模の私学では、
尚更、早急の対策を講ずる必要に迫られている。
事件が起こってからでは遅いのである。

その中、アンテナを高くしている女性教員たち(別名パワーシスターズ)は、
フレッシュマンゼミで、男性の女性に対するコミュニケーションマナー、
デートDV防止のワークショップを取り込むことにした。

諏訪地域の性教育、第一人者、セクシュアリティー教育、デートDV防止講座
で全国的知名度が高まりつつあるわれらがたけさん、こと竹内未希代先生を
外部講師でお招きする予定である。
先生は信大の新入生ガイダンスでもこの新機軸の授業を担当された。

フレッシュマンゼミの1グループは約16人。2グループでも30人程度。
本当なら、大学全体で取り組む必要のある教育である。
しかし出来るところから、少しでも早く取り組んだ方がいいに決まっている。
きっと、他の教員たちも、近い将来、必要性に気づいてくれるだろう。


話題を変えよう。
一般的にいって、企業であれ、団体であれ、学校であれ、組織全体の考えが
古くて、構成員が社会の出来事にうとく、自分たちに何が要請されているかを
理解できず、新しい選択ができない場合でも、
軽やかに対応する少数のメンバーがいれば、生き残ることができる場合が
あるだろう。

「2:6:2の法則」
どんな組織であっても、全体の構成員の2割が積極的な仕事で全体を
引っ張り、6割は、可もなく不可もない働きぶり。
最後の2割はお荷物で何もしない。こんな法則があてはまるという。
一つの組織の中でも、基準の取りかたによっては、この分布のメンバーは
別の顔ぶれになりだろう。

ともかく、諏訪理科大においても、一部の学生であれ、竹内未希代先生の
授業を、今年も受講することができる。
これは有り難いことだ。


話変わって、茅野市では、性暴力から女たちの心と身体を守る
女子の護身術WENDOを、今年度から、2回家庭教育センターの主催で
開くことになった。

 第1回72日(土) 第21016日(日)
会場は、どちらも茅野市家庭教育センター。

これは、きりりネットワークの皆さんの協力で開かれる。
「きりり」は、たけさん、かやのさん、はるさん、さやさんのスタッフ。
HPを開いてください。メンバーの紹介が見られます。
http://kiririnet.exblog.jp/i2/

世界中のあらゆる地域におけるように、やまねこの住む地域においても、
外にも内にも強い力を備えた女たちが多くなることを、
やまねこ切に念願している。

皆さまの地域では、どんな行事がひらかれていますか?

 うらおもて・やまねこでした。 
 

2 件のコメント:

  1. 私たちの娘時代(半世紀まえ)は、性犯罪について
    「男より女が歳上(同い年まで)なら、女が悪い」と
    男が歳上なら男が悪いと言われたもので、要は女は“自分で身を守れ!”と言うことだったのでしょう

    姉は勤めから帰るのが遅くなると、人っ子一人通らぬ山道をタバコを噴かして帰りました(狢除けにも)
    ≪女は被害者にならぬよう=男を加害者にせぬよう≫でしょうか~
    同じ道を、次兄(6尺男)が暗がり(鼻を摘まれても判らぬ)を帰宅中
    頬かむりで片目だけ出した男が近づいてきて、男と判ったらソソクサと離れて行ったそうです

    昔は↑の如くで、泣き寝入りが多かった訳ですね!

    中学時代、通学路(山の麓)に同級生で真昼間(通学時)に出る男がいて、刑事が来たことがあります
    イロイロ先生にも訊かれました、彼は今なら、普通学級に居る人物ではなかったのですが~
    後に、地元から離れた少年院で彼を見たとの話を聞きました

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  2. うらおもて・やまねこ2011年5月26日 7:17

    Tokiko.M ”・_・」 さま
    50、60年前、1950年代の子どもたちは、「性犯罪」とのことばではなく、「人攫い」の恐い物語を聞いて育ちました。
    見知らぬ人に気をつけないと、サーカスにさらわれ、どことも知れぬ土地に連れて行かれるという背筋の凍える物語。
    後年、江戸川乱歩の小説の中に、この恐怖の内実が詳しく描かれていることを発見したものですが。

    当時は、子だくさんの社会でした。物資が十分ではないので、食べられるだけで満足の段階でした。
    戦後民主主義が、人間の平等、基本的人権の重視を普及させ、個人の権利の大切さの考えをもたらしました。
    現在だったら、事件が発生したら、通学路を大人たちが巡回するでしょう。
    「豊かな社会」の成熟する中、少子化が進みます。
    その中で皮肉にも犯罪が多発します。
    何ら、特別ではない者たちの間で。

    それにしても、50年前の越の国、山間僻地の物語は、いくら聞いても聞きあきることがありません。
    通学のため2mの雪をかき分けて進んだ絵物語の紹介を何らかの形でできないかと思ってます。

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