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2011年6月30日木曜日

この「国」とその「背後」にあるもの、東電株主総会、玄海原発再開、菅おろし

@@@@やまねこ通信106@@@@

   東電株主総会、「脱原発」否決はしたが・・・
29日都内ホテルで開かれた総会では、過去最多の9309人出席、最長の
6時間9分に及んだ。
株主402人が「原発撤退」を求める株主提案をおこなったが、賛成約8%、
反対約89%で否決された。

議決権の60%を握ると見られる法人株主は、あらかじめ経営側に取り込
まれていた。議長を務めた勝俣会長は、過半数の委任状を盾に強気の議
事進行。
「大株主から多くの委任状を受け取っており、(経営陣に)賛成をいただい
ている」として「原発撤退」案を退けた。これに対して、「総会を開く意味がな
い」などの怒号が飛びかった。

「今回の事態を引き起こして申し訳なく思うが法令に定める安全運営にあた
ってきた」として勝俣会長が責任回避の発言をしたが、「津波の問題は過去
にも指摘して来た」との脱原発を主張して来た株主によってかき消された。

「原発撤退」の株主提案は、数字の上では8%と少数だが、会場の挙手は多
数をしめていた。特に、原発地元の南相馬市、白河市が「原発撤退」を求め
る株主提案に賛成した。

「責任はOBにもある」として企業年金の減額を求める声。「役員は私財を売
却して賠償に充てるべき」との指摘、「東電が今のままなら事故は何度でも起
こる」との声が相次いだ。

同日、総会を終えた九電、中電でも脱原発議案は否決された。しかしいずれ
も過去最長時間だった。「国策民営」のこれまでの体制は決定的な見直しを
迫られていることは間違いない。(毎日新聞より)

清水社長は既報の通り引責辞任。勝俣会長は居残り、新社長はそのイエス
マンとの評判たかい人物である。

   東電株価、一時10分の1
東電の株価は、震災前の2000円台から300円台に急落している。東電は
安定感抜群の銘柄であった。原発事故後、国有化案などの中で株価は下落
し、7~10分の1から浮かび上がる気配はない。
仮に資産1億円を東電株で所有していた人がいたとすれば、事故後1000万
~1400万にやせ細り、回復見込みなしといった惨状である。 

   玄海原発、経産相訪問で再開の方向へ。
海江田経産相が佐賀入りして古川康佐賀県知事に再開を促した。知事は
玄海原発について「国が責任持つ」というから、再開の方向に向かうと発言
した。テレビに映しだされた古川康県知事の顔は、はりぼて人形のよ
うに、表情がなかった。自分の意思で何かを決定している人の顔とは
思えなかった。

県知事は原発再開の認可をするしないの権限を持っている。東電福島
第一原発事故の後、「国」がどんな責任を取れているのだろう。原子
炉冷却の目処も立っていないではないか。

   この「国」とその「背後」にあるもの
この国において「国」という時、その「背後」に潜んでいる存在を市
民は忖度しなければ話が通じないのではないだろうか。

内田樹の研究室622日「久しぶりに授業をしました」で「背後」の
問題について掘り下げている。平田オリザ発言の後、メディアはどの
新聞も、後追いの報道をしていない。05年、北方領土返還を、EUがロ
シアに命じる決議をしたが、これほどの重大事を、わずか一紙しか報
じなかったという。驚くべきことである。それを良しとしない「背後」
の存在を仮定しなかったらとても説明がつかないではないか。

   「菅おろし」とは何か。齋藤美奈子の推理
広河隆一責任編集の「The Days」は、大資本メディアが報じない記事
を掲載する写真週刊誌である。
文芸評論家・齋藤美奈子の連載コラムが面白い。

7月号では「是が非でも『菅下ろし』が必要だった理由とは?」。ど
うして与野党が裏で協力してまでの「菅おろし」があの時期に急がれ
たのかの謎に迫っている。

齋藤美奈子の言わんとする所は次のとおりである。
56日夜、突然に行われた浜岡原発停止要請以外にないだろう。浜岡
原発停止は市民運動の盛り上がりの結果もたらされ、原発に不安を抱
く市民たちには大歓迎だった。518日には発電部門と送電部門との
分離を首相は記者会見で口にし、OECDで「2020年までに総電力に
占める自然エネルギーの割合を20%に拡大する」との目標を示した
524日)

主要8か国首脳会議(G8サミット)では、OECDでの発言をふまえ
相は日本が徐々に再生可能エネルギーにシフトしていく考えを国際公
約している。(527日)

ところがである。この首相発言の直後、政府内からは「裏打ちのない
数字でとても実現できない」「何かを打ち上げたかっただけで、あま
り取り合わなくていい」との声が上がった。

政財界にこれをうれしく思わない勢力があるということだ。それ以後
の「菅おろし」の動きは、小沢一派の画策でも鳩山前首相の宇宙人的
トンチンカンのためでもない。

それは電事連と一蓮托生の自民党であり、電力総連べったりの民主党
である。「与野党の協力」とは、現状の電力会社の利益を協力して守
ることだったという。

まことに分りやすい説明である。この自民党と民主党の一体となった
旧来のエネルギー政策が、外交的にはどのような「背後」をもつもの
であるかは、「内田樹の研究室」の語る通りであり、下諏訪「原子力
を見直そう」集会でやまねこが語りたかったことでもあった。

だとすれば、次期首相が誰であっても、この国のエネルギー政策に大
きな転換をもたらす人物はあらわれる可能性がきわめて薄いというこ
とになるだろう。

メディアが決して報道することのないこの国を取り巻く大枠を了解し
ながら脱原発をめざすことが、この国の市民に課せられた大きなハー
ドルである。占領期以後、市民の眼からは見えなくされた「背後」の
存在。ところが原発事故修復と、脱原発運動に市民が動く時、見えな
い「背後」がその存在を誇示する。

脱原発の活動は、脱「背後」の決意と活動に他ならない。けれどこの
ことは「明示的」なスローガンにはしにくい形を取っている。
こう考えるのは、果たしてやまねだけであろうか。

 この投稿を作成中816分長野中部に地震がありました。(M5.5) 
 茅野は縦揺れしましたが物が倒れはしませんでした。
 やまんばさん、早速のお見舞いありがとうございます。
 皆さまの地域ではいかがでしたか?  

 うらおもて・やまねこでした。

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