再処理こそが問題だ！静岡県知事、マルクール事故、東電事故黒塗り報告、枝野経産相

@@@@やまねこ通信138号@@@@

中部電力浜岡原発の地元静岡県知事は、使用済み燃料再処

理の目処が立つまで再稼働を許可できないと語った。

13日未明に報道された南フランス・マルクールの核廃棄物

処理工場の事故はヨーロッパ最大の原発大国フランスでお

こった。フランスは「事故が起こることを前提」とした危

機管理を標榜し、原発事故対策をビジネスとした国営企業

アレバ社を看板にしている。今後、事故報告の透明性も売

り物にしてほしいものだ。

●静岡県知事、浜岡再稼働で使用済み燃料処理も条件

国の要請を受けて五月から運転を停止している中部電力浜

岡原発（静岡県御前崎市）について、静岡県の川勝平太知

事は十二日の定例会見で「使用済み核燃料が処理されるめ

どが立つまでは再稼働させるべきではない」と述べた。

川勝知事はこれまで、東海地震の震源域にある浜岡原発の

再稼働の是非は、県として独自に判断するとの意向を繰り

返し明らかにしていたが、今回はより踏み込んで条件を示

した。

会見で川勝知事は、防波壁を十八メートルにかさ上げする

中電の津波対策を「これ以上できない形で対応している」

と評価する一方、「使用済み核燃料をどうするかは出てい

ない。どうしたらそれが処理できるか、（中電は）現在そ

の技術を持っていないというのが私の認識だ」と話した。

中電によると、三月末時点で浜岡原発の原子炉建屋内のプ

ールには、使用済み核燃料計六千六百二十五体が保管され

ている。福島第一原発の事故では、津波で燃料プールの冷

却機能が失われ、使用済み核燃料の温度が再上昇した。

中電は１２年秋に本格稼働を予定している青森県六ケ所村

の再処理工場に処理を委託する方針だ。しかし東京電力福

島第１原発事故のため同工場は試運転がストップし。予定

通りの稼働は危ぶまれている。川勝知事は「使用済み核燃

料を六ケ所村に持って行ける状況でもない。そういうこと

を中電に突きつけたい」と述べた。（東京新聞、毎日新聞）

やまねこは考える。全国のどこよりも早く、浜岡原足元の

静岡県知事が、再処理の目処が立たなければ、再稼働を許

可しないと述べた。これはスゴイことだ。

使用済み核燃料は冷却を継続することが必要な厄介な代物

である。青森県六ケ所村が利用できなければ、浜岡原発構

内に保管するほかない。

冷却しながらフランスに運搬することもあったが、2日前、

原発大国フランスの誇るマルクールの核廃棄物処理工場で

事故が起こった。

八方ふさがりである。使用済み核燃料の処理は、技術的に

は現在まったく目処が立っておらず、ひたすら構内に積み

上げて行くだけである。

脱原発を呼び掛けるための新しい手段を静岡県知事は開発。

能力と意欲さえあれば、県知事にはこれだけのことが出来

ると言う見本と言える。川勝知事を応援しよう。

●東電事故報告書を黒塗りで提出

報告の透明性どころか、東電の隠蔽やり放題のこの国では、

報告書が真っ黒だった。

衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会（川内博史

委員長）に対し、東京電力が福島第１原発の「事故時運転

操作手順書」の大半を黒く塗りつぶして開示したことを明

らかにした。

委員会が「事故原因の究明のために欠かせない」として、

東電に提出を求めていた。別の「シビアアクシデント（過

酷事故）発生時の手順書」については、開示にすら応じな

かった。同委員会は９日までに開示するよう再度要求した。

提出された事故時運転操作手順書はＡ４判計６枚。「主要

項目」や「当直長（当直副長）」など４項目に分類され、

それぞれの手順などが書かれている。しかし、ほとんどが

黒塗りされていて、かろうじて読めるのは、「原子炉圧力

（容器の圧力）が上昇した時、非常用復水器の使用などに

より圧力を●～●メガパスカル（●は黒塗り）に維持、報

告する」といった記述に限られる。

同委員会は、８月２６日に経済産業省を通じ、操作手順書

などの提出を東電に求めた。同省原子力安全・保安院によ

ると、東電は９月２日に提出したが、その前日の１日、一

般への非公開を条件とするよう打診していた。保安院は断

ったものの、受け取った黒塗りの文書をそのまま委員会に

届けただけだった」。

作業員の名前などのプライヴァシーを守ることは必要だと

しても、東電の言い分は「知的財産が含まれ、核物質防護

上の問題が生じる恐れがある」とのこと。保安院も黒塗り

黙認。だとしたら、「手順開示」など原理的に無理という

ことになると、やまねこは考える。幹部の参考人招致は不

可避であろう。

●  枝野幸男氏を経産相、任命までの経過

読売新聞webに、枝野幸男氏を経産相に任命するまでの経
過が書かれている。これが面白い。

野田新首相は枝野幸男氏に就任を依頼。

枝野氏「考え直してもらえないか。私の他に適任者がいる

はずだ」

枝野氏は幹事長として率いた昨年の参院選惨敗や、菅内閣

の失政の責任も負っている。枝野氏はしばらく「充電期間」

を置く考えだった。

 枝野氏の固辞の姿勢を伝え聞いた首相は１１日夜、枝野氏

に直接電話した。

枝野氏「『人口が減少する日本は、大きな経済成長はしな

い』というのが私の持論だが、それでよろしいか」

首相：「それで結構だ」

 

経産相が「大きな経済成長はない」と考えていることを、

国民は早めに共有した方がいい。地方自治体にも共有され

るべきだ。これは将来のエネルギー政策を考えるにあって

の根本的立ち位置である。

そんな国でリニアモーターカー新設が、どんな位置を占め

るのか理解できない。基本的に右肩上がりの成長神話から

抜け出せない「ブリキの兵隊」モードの運輸官僚とＪＲ東

海、それにゼネコンの旧態依然たる利権政策である。

経産相に枝野氏が就任したことで、小沢グループの中堅議

員は「同じ人間が重要ポストを順番に務めている。我が党

は人材がいないとアピールしているようなものだ」と批判

したという。

こう語った議員は、どうやら民主党に「人材がいない」事

実を自覚していないようである。これでは二重の不名誉と

いうものであろう。第一に人材のない事実が不名誉であり、

その事実に気づかない鈍感さが第二の不名誉である。

かといって、自民党に人材がいるわけではない。福島瑞穂、

菅直人、馬渕澄夫、河野太郎の「福直澄太河」の顔ぶれに

枝野幸男ら、ごく少数の政治家を数えるだけである。

それ以外の衆議院480人参議院242人、合計722人の議員たち

は、莫大な歳費を税金から吸い上げ、いったい何を考え、

どんな仕事をしているのだろう。

うらおもて・やまねこでした。