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2011年11月27日日曜日

やまねこの幸せな日、Dirtyなものが美味い、しおり作り


@@@@やまねこ通信155@@@@

大根のおいしい季節になった。
ゆきつけの自動車修理屋さんで車検とタイヤ交換を済ませ
た。事務所ではおかあさんのいれる美味しいコーヒーが楽
しみな店。けれど今日は娘さんだった。フォークダンスが
大好きで明るいおかあさんは入院中。一日も早い回復を祈
っている。

帰りがけに太い大根を何本も分けてもらった。せいたかさ
んにとたなべさんにお裾分けする。

昼間から台所で大根を煮る。大きな鍋にたっぷりの水を入
れて大根を浸し鰹節と醤油を加え火にかける。沸騰したと
ころで弱火に。家の片隅でことこと美味しいものが煮えて
いる日はやまねこにとって幸せな日である。

箸で切って口に入れ舌で押せば熱い煮汁がしみだす。こん
なにおいしいものが台所の片隅のコンロの上でひっそり作
られることの驚き。大根の土を洗い落とし、皮を剥かずま
な板の上で厚い輪切りにし、放射状に6分の一切りしただけ
の手間である。

そういえば、牛蒡の季節でもある模様。農協の経営するス
ーパーの店先に、1メートルを超える土付き牛蒡が10本ばか
りビニール袋入りで寝かせてある。一袋買った。また知り
合いに配達しよう。

新鮮な牛蒡はみずみずしい。土を洗い落としてボキッと折
る。中は真っ白である。皮は剥かない。

土のついた野菜を買う。英語で土をdirtと言う。「土のつ
いた」との意味の形容詞はdirtyである。ところがdirty
ーティーという語は、「汚い」という意味に転化した。
「土の付いたもの」=「汚いもの」との等式は、いつから
成り立ったのだろう?

英語で土が付いたものがdirty「汚い」と呼ばれると同様に、
この国でもスーパーに並ぶ野菜は土を洗い落として売られ
るようになった。おまけに工業製品のように形までも画一
化して。その方が売れやすいと聞いたと思ったら、そうで
なくては売れ残ると伝えられ、やがて規格外の野菜は市場
に出されなくなった。

土はミネラルを含んでいる。大地に埋もれた鉱物mineこそ
mineralの語の根っこ。食する寸前まで大地の寝床を毛布の
ようにまとった根菜は美味しいに決まっている。

●先週1119日は連合婦人会の皆さんに誘われ押し花のし
おりづくりに参加した。前会長は男女共同参画を進める会
の代表を2年にわたり務めてくださったたかさん。せいたか
さんならゆみさんとともにやまねこもピンセットを持参、
9時半に会場に集合。しおりは茅野市の全中学生と新成人
に対する連合婦人会からの恒例の贈り物。1500枚ばか
り作る予定である。

会場にはすでに押し花の材料が新聞紙の上に広げられてい
る。庭先に咲く花を摘み集めては押して乾燥させる作業を、
たかさんが年中続けてこられた成果と聞く。

婦人会の皆さんとやまねこたちの仕事は、ラミネート用フ
ィルムの上にしおりを8枚乗せ、一枚一枚に花びらや葉っぱ
を並べて造形すること。次にラミネートフィルムをそっと
上にかぶせ、機器に通せば、熱で張り付いて押し花の浮き
上がった素敵なしおりができる。最後に8枚を切り離し、上
に穴を開けリボンを通す。これでしおりの完成である。

造形が思いのほか容易ではない。最初はリアリズムを念頭
に置く。花びらにふさわしい葉っぱを選び土の上に茂って
いるかのような図柄を描く。けれど、花びらの大きさなど
を考えると、これは無理であることが判明。次には「みな
し」「やつし」の手法でやってみる。花びらと葉を組み合
わせるけれど自然界の組み合わせではなく、一見それらし
く見えるように「みなし」て描いてゆく。

少し作ったところで初めて、たかさんら、勉強会を経て毎
年作ってこられた師匠の方々の作品の素晴らしさが理解で
きた。隣の師匠の造形を横目でにらみながらピンセットや
お箸で押し花を摘まんではしおりの上に乗せてゆく。

静電気が邪魔して折角並べた花びらが滅茶苦茶になること
は一度や二度ではない。鼻息で乾燥した花びらが飛んでし
まうことも。ラミネート機器にかけて完成した作品を師匠
が見とがめ、「これは誰が作ったの?もう少し図柄を工夫
してください」と愛のむちが飛んだことも一度ばかり。

お昼になった。二階の会議室に弁当が待っていた。皆さん
思い思いに家で作って来られた野沢菜、寒天ゼリー、青菜
の白和えなどの料理が、重箱に入れて回されている。何度
も取り分けておいしくいただいた。野沢菜も生姜入り、醤
油漬け、塩漬けで味わいが違う。

午後は顔ぶれが少し入れ替わった。長円寺の大黒様に久し
ぶりにお目にかかる。2年前の男女共同参画推進大会でバ
ングラデシュのグラミン銀行のことを主題にした。女性の
経済活動のお蔭で社会が活性化された事例の紹介であった。
その折、サリーをお召しになって登場し、バングラに小学
校を作る計画を着々進めてこられ毎年訪問している報告を
してくださった。その時以来の再会である。

長円寺では年二回コンサートが催される。広い境内には水
琴窟があり、なんじゃもんじゃの木が有名で新聞一面のカ
ラー写真に時折登場する。訪問者の多い寺院として地域出
色、御柱街道に面した真言宗名刹である。

コンサートはあと2度とのこと。忘れずに参加しなくてはと
やまねこは思ったのでした。

うらおもて・やまねこでした。

2011年11月26日土曜日

紀美子の身勝手は、父の身勝手の反映ではないのか?茅野市男女共同参画講座・第20回『噂の娘』



@@@@やまねこ通信154@@@@

本日は仲間たちと2か月一度のセミナー、茅野市男女共同
参画講座の日。諏訪理科大4号館432室、午後1時開始。テ
キストは成瀬巳喜男『噂の娘』(1935年)。

開催時間は3時間に短縮。前回『妻よ薔薇のやうに』と同
じ年代の作品。前回『妻薔薇』では<永遠の少年>の父が
二人の妻二つの家庭をもつ。東京では法律婚の家庭、信州
では事実婚の家庭。東京の娘君子が結婚を控えて父を連れ
戻しに信州に赴く。信州にはお雪が小学生の男の子堅治、
妻の連れ子の静江とともに父を囲んで「幸福」な家庭を営
む。君子は父の気持ちを理解して事実婚の家庭に父を送り
返すという物語だった。二人の妻、二つの家庭のコントラ
ストが明確だった。

『噂の娘』では家庭は一つであるが、「妻」が二人いる。
灘屋という酒屋の当主健吉は婿養子で繁盛していた店が傾
きかけたところに入籍。現在、妻はすでにない。長女邦江
と次女紀美子、隠居した江戸っ子で道楽人の舅の四人家族。
他に番頭、女中、小僧が店を支えている。健吉は左前の店
を何とかして再建すべく焦っている。

健吉には妻の存命中からお葉という「妾」があり、竹葉と
いう割烹を営んでいる。お葉は「妾」といっても健吉に養
われてはおらず、むしろ窮地にある灘屋を救うため、繁盛
している竹葉を売りに出す心づもりである。お葉のことを
長女邦江は理解しており、自分が結婚したら灘屋に入って
もらうつもりで祖父を説得している。

『妻薔薇』では二人の妻がコントラストであった。教養あ
る歌人で家事をほとんどすることなく経済にも無頓着な本
妻悦子。もうひとりは良妻賢母を絵にかいたような尽くす
妻信州のお雪であった。

『噂の娘』ではこのコントラスト、女性の二つのパターン
は二人の娘の姿に描き出される。長女邦江は灘屋の帳場が
定位置。和服を着て店の経営、台所、一家の将来に心を砕
いている。次女の紀美子は反対に、最新流行の洋装で街を
闊歩するモガ。帳場に出ることはなく、帳場のお金だけが
関心の的。二階の和室に大音声のジャズをかけ女友達を呼
んでダンスに余念がない。紀美子はそろそろ20歳を迎える。

邦江が見合いするところからドラマが動き出す。見合い相
手の男性は裕福な相模屋の跡取り息子の帝大生。邦江が結
婚することで灘屋の苦境が救われるかもしれない。ところ
が彼は邦江ではなくモガの紀美子に関心を寄せるようにな
った。邦江はそれを知って悲しむ。けれど怒りや悲しみを
表にあらわすことはない。

実は灘屋一家には「秘密」があった。健吉はお葉との間に
子どもを作っていた。長女邦江は結婚して灘屋を離れ、父
とお葉とその娘との家族が灘屋を受け継ぐことを望んでい
た。けれど、お葉の娘はどこで育ったのか。果たして生み
の母がお葉であることを知っていただろうか。

知らなかったのである。お葉の娘は灘屋の次女紀美子だっ
た。紀美子は20歳を迎えるまで実母を知ることがなく灘屋
の次女として育っていた。「新しい時代」をファッション
で体現する紀美子は、灘屋の死んだ跡取り娘と番頭だった
父健吉のような「政略結婚」を蔑み、恋愛結婚の相手を見
つけることを望み自分にその力があると考え、長女邦江の
見合いを揶揄していた。

クライマックスは紀美子の20歳の誕生日に起こる。紀美子
は二階でジャズのレコードを掛けて女友達にボーフレンド
から送られたバースデーカードを見せびらかす。それは邦
江の見合い相手の青年だった。

そこにお葉が邦江と健吉に乞われて、初めて灘屋を訪問す
る。父健吉は騒々しいジャズの部屋から紀美子を呼んで伝
えた。「お前を生んだお母さんだ。挨拶なさい」。ところ
が座敷に正座するお葉を紀美子は立って見下ろしたまま、
返事をしない。やがて言う。「嫌です。今になってそんな
こと」。健吉は「今日こそお前のわがまま叩き直してやる」
と手を振り上げる。「私わるくっても構わない。私お母さ
んなんかいらない。お父さんだって家だって何もいらない」
と紀美子は叫び、家出支度をする。

ここに来るまでに健吉はもっと適切な告知の仕方がなかっ
たのだろうか。婿養子と言っても妻の存命中から「妾」を
もって子どもを作った健吉は、自分の生み出した「一家の
秘密」を紀美子にどうやって伝えたらいいのか、少しは工
夫を考えなかったのだろうか?「わがまま」な紀美子をど
うして放置したのだろう?

おそらく灘屋一家と死んだ妻、生まれた紀美子に対する罪
悪感の故だっただろう。父健吉は紀美子に負い目があって
父として言うべきことが言えなかったのではないだろうか。
その意味で紀美子の「身勝手」は、父親健吉の身勝手の結
果であり反映ではないのか。


この身勝手な父親の後始末に心を砕いていたのは長女邦江
だった。娘が父親の身勝手の生み出したトラブルを救済す
るところは、『妻薔薇』と共通している。

終焉は突然にやってくる。警察が灘屋を訪問し主人を呼び
出す。「一家の秘密」が暴かれたこの日、もう一つの秘密、
灘屋の酒造のインチキに警察の手が入ったのだった。父健
吉はこうして二つの罪を暴かれ二重に処罰されるところで
幕が下りる。

灘屋一家を都会の「噂話」が取り巻いている。没落する一
家を町の噂が他人事として噂する。「悲劇」は中和され、
どこにでも起こる物語として「噂」の幕が下ろされ、観客
はその外に置かれる。悲劇の悲喜劇化。おそらくこれは、
多数の人々が他者に対して無関心に暮らす近代の都会の風
景の造形化、映像化ではないだろうか。

血縁共同体という前近代からの遺制「家族の物語」が「モ
ダーンな都市」のパースペクティブの中に描かれたことが
冒頭と結末で明らかになる。それが灘屋一家の転変のドラ
マ『噂の娘』の構造であった。

本日はミニ講座の拡大版で「男性の男女共同参画」につい
てお伝えします。いわば「社会科の時間」。

この10年間、男女共同参画はなかなか進みませんでした。
それは男性社会が男女共同参画を「女の問題」「家庭の中
の小さな問題」と考えていたからです。男女共同参画を進
めることで経済や社会全体の活性化につながり、男性の自
殺率の増大に代表される閉塞状況を打ち破る変革につなが
ることが理解されてこなかったのです。

男女共同参画は、国連の進める「平等・開発・平和」の一
環を担う世界的トレンドです。

昨年7月に発表された「第3次男女共同につながることを
参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)」
を紹介しつつ、私たちの生きる今日の社会がどんなものか、
若者たちに引き継がれる未来をどうしたらいいのか。こん
な社会の現実をお話しします。あらまし次のような現実で
す。
1 少子・高齢化の進展と人口減少社会の到来。人間関係
   の希薄化。
2 経済の低迷と閉塞感の高まり
3 非正規労働者の増加と貧困・格差の拡大
4 国際化の進展と国際的な人の移動の増加

以上のことがらすべてが、男女共同参画とかかわってい
ます。国の屋台骨は男が支えるもんだと勘違いした男性
社会が長引けば長引くほど、解決の道は遠のくのです。

今回より、資料の冒頭に次のフレーズを掲げます。

   脱原発・自然エネルギーの社会を、男女共同参画の社
   会にしましょう!

資料の末尾には次のフレーズを書きました。

丸岡秀子『ひとすじの道』
読書会、セミナー、有料映画会等を5月以後に予定。
「命を生みだす母親たちは、戦争に反対します!」
「命を生みだす女たちは、原発を許しません!」
「でも、女たちばかりに言わせないでよ!男たちだって、
放射性廃棄物と同居の未来は嫌だよね!」

うらおもて・やまねこでした。


2011年11月24日木曜日

脱原発 11月23日キック・オフ集会脱原発をめざす女たちの会に行ってきました。


@@@@やまねこ通信153@@@@

脱原発をめざす女たちの会、「1123日キック・オフ集会」
に参加した。賛同人に吉永小百合(俳優)竹下景子(俳優)
杉田かおる(俳優)樋口恵子(評論家)落合恵子(作家)米
沢富美子(物理学者)らの有名人の名が並んでいるので、注
目を集めている。

やまねこは脱原発MLを通じて情報がもたされて間もなく賛
同人に登録した。次のURLをクリックすると、名簿が見ら
れます。

午後1時半から4時過ぎまで。会場は高円寺駅に程近い劇場
座・高円寺地下小劇場。300人収容。ところが予想以上に
詰めかけたため、第二、第三会場が設けられ、ネットの動画
がリアルタイムで上演された。やまねこは中途から座・高円
寺会場にもぐりこむ。

「現地からのアピール」では、福島、浜岡、福井、玄海など
全国の反原発活動の女たちの報告である。それぞれ3分では
とても語りきれない思いが伝わる。

新谷のりこ「フランシーヌの場合には・・・」の歌唱、岩崎
加根子の詩の朗読の後、「呼びかけ人」の3分、メッセージ
がその後に続いた。「サンダカン八番娼館」の山崎朋子、法
政大の田中優子、若者の貧困の雨宮処凛、アイヌ文化の宇梶
静江らの発言。どの発言に歓声と拍手のどよめきが寄せられ
る。

脚本家の小山内美江子は、第五福竜丸事件の折、杉並の母親
たちの始めた署名が、7000万人にのぼったことを語った
。高円寺は同じ杉並区である。

やがて主催者の福島みずほ参議院議員、『からだノート』を
最近読み直して今なお新しさに感服した中山千夏。最後に、
昨日まで入院していた吉武輝子が、酸素ボンベをワゴンに乗
せ鼻にパイプを入れたまま黄色いスーツで登場。

最後に女たちの脱原発宣言を採択した。

被爆国日本で反核の街頭署名に立ち上がり、日本と世界に
核廃絶運動を広げる原動力となったのは女性たちでした。
その女性たちの力で、今再び世界に新たな価値観を示し、
原発に頼らない社会を実現したいと、私たちは願っていま
す。

 危険な土地、危険な水、危険な空気を次世代に残すことは
できません。福島原発事故を原子力災害とするために、私た
ちは今日ここに集いました。

 私たちは放射能におびえ暮らしを未来に残すことをっ断固
拒否し、ここに宣言します。

 原発はいらない。
 
 2011年11月23日
   11.23キックオフ! 
  脱原発をめざす女たちの会 参加者一同


会場には男性の姿も少なくなかった。中山千夏は語った。
「女たちは原発のない社会をめざします。女たちと一緒にい
たい男たちも同じ社会をめざしましょう」(笑)

原発事故当時ドイツにいたある人は、「どうして日本は脱
発に向かわないのですか」と尋ねられて返事に窮している。

脱原発をめざす女たちの会・今後の予定:
3月11日(日)福島現地の全国集会に「脱原発をめざす女た
    ちの会」として参加。
4月7日(土)日本教育会館一ツ橋ホール。「現地の女たちと
    つながろう」をテーマに、講演、歌、現地からの報告など
    を予定。
6月2日(土)日本教育会館一ツ橋ホール。講演とパネルディ
    スカッションなどを予定。



やまねこは考える。
この国の政治も経済も、男たちだけに任せるわけにはいかない。
フクシマ以後の社会を、女たちの手に取り戻さなくては!

子どもたちの命を犠牲にして、何もなかったかのように原発輸
  出などを進めている経済至上主義はおかしいよ。この当たり前
  のことをはっきり語ってゆこう!

自然エネルギーの時代は男女共同参画とセットにしよう!

経産省前の座り込みには参加できず、残念だった。今日はその
かたき討ちが果たせて本当に晴れ晴れした。

うらおもて・やまねこでした。




2011年11月19日土曜日

男女共同参画推進の方向確認、副知事の「さゆり効果」、途上国の茅野市で推進大会終了


@@@@やまねこ通信152@@@@

●女声コーラス・コールフェミニーレの合唱が皮切りだっ
た。「ふるさと」「歌の力」が会場に響きわたる。茅野市
第5回男女共同参画推進大会(11月13日(日)午後1
時―3時半)。一週間前である。

指揮と歌唱指導ははらふさこさん。コーラスの皆さんは紫
色のベストに思い思いのスカーフ。同じスカーフを巻いた
お孫さんの手を引いて登壇のメンバーも。フロアの参加者
も唱和を求められた。

司会はやなぎさわさん。大会実行委員長挨拶、実行委員長
は行事の中身を決めるまでの会議で、多数の意見を吸い上
げまとめることが主な仕事。これがうまくゆかないと、会
場のイベント準備が手薄になり、盛り上がらない結果にな
りがち。今年はせいたかさんがこの役を務めた。「3.1
1後、自然エネルギーに舵を切りつつある長野県それに茅
野市。男女共同参画の社会を実現してゆこう」とのメッセ
ージ。

茅野市長挨拶に続き、長野県副知事加藤さゆりさん講演。
副知事加藤さゆりさんのお話を聞くのはやまねこれで三度
目。どれも明確な内容が直球ストライクで伝えられ、胸に
おちる話だった。今回は60分。

「この国は男女共同社会に、本当に向かっているだろうか
?」。国の政策をこの方に向かわせるにはどうしたらいい
のか。しっかり生活者や消費者の視点、女たちの「手の力
」を政治の場に発信できるといい。持続可能社会をどうや
って作っていけるのか、地域の意識が変わるといい。家庭
科教科書が男女共同参画のとても優れたガイドブックであ
り、全国の高校生が学んでいる。

加藤さんは経歴を自己紹介しながら女たちの活動のさまざ
まな切り口を語ってゆく。「20代、30代の働く女たち
が集まる店が伸びる店である」と北京、上海、南京出張体
験を報告。ウーマノミクス、女性の経済効果の視点である
。加藤さんは消費者庁新設の折、霞が関の省庁からかき集
められた官僚たちに混ざって参加した。今でも出張の折に
は町のスーパーに赴いて地域の消費動態を観察するのが習
慣。どの話も経験に裏付けられた奥行き深い内容だった。

「うまくやろうと思わないでね」。最初の就職先地婦連事
務局長田中里子さんが新人加藤さんに語った言葉である。
「男女平等実現」「世界平和」を掲げる職場であった。利
害対立の際には自分の考えを引込めてはダメ。「折り合い」
とは考えの違う相手に対して誠実に向き合い丁寧にきちん
と聞くこと。相手の理解を得るために汗をかくことだと教
えられたという。

すぐれた女性の上司と共に働く職場は学びが多いのだな。
「一人の英雄より、みんなが一緒に進む」。英雄崇拝に傾
きがちな男性社会に対抗するしなやかな戦略がここに秘め
られている。副知事としての加藤さゆりさんの「静かで強
い」姿勢はパワフルな女性人材の宝庫、地婦連で養われた
ものだったかとやまねこは理解した。

60分があっという間に経った。もっと聞きたいとの声が
あとで何人もの参加者から寄せられた。質問タイムは5人
の女性男性から手が上がった。研究の場での男女共同参画、
山仕事に女性が入れるかなどの質問が寄せられた。

●推進大会の後で
参加者の評判が高かったのは、何といってもコールフェミ
ニーレの女声コーラスだった。原さんの指揮がすばらしか
った。すばらしくてびっくりしました。会場と共に歌うよ
う促されて、とても良い雰囲気になりしたとまつばらさん
。あんなに素晴らしいものだったとは!会場が和やかにな
って良かったとの声が何人もの方々から寄せられている。
でも「ふるさと」を唄うと胸が詰まる思いがするのは、や
まねこだけでないらしい。

市長の挨拶は具体的でなく何を言ったのか印象が薄かった
との声が数件。男女共同参画の短い挨拶の中で「私は妻を
愛してますが」と中途ではさむのは、もしかして夫婦の仲
の良いことが共同参画だとお考えなのだろうか。「文化に
しないと、定着しない」との表現は過去4回と同じだけど、
以前は「文化にならないと」だったと思った。今年は「し
ないと」と微妙に変化。主体性のない発言と批判したこと
が影響したのかも。それにしても茅野は男女共同参画につ
いては発展途上の地だなとつくづく思う。こんな寝ぼけた
挨拶をしても市長が務まるのだから。

それにもまして、「自然エネルギーの仕事の方が、難しい
と思ってます」と実行委員長を意識した発言。男女共同参
画が容易だったら、実行したらいいじゃないの!自然エネ
ルギー社会の実現の道が今より容易になることをやまねこ
は確信している。

●加藤さゆり副知事の話は、要点がつかみやすく分かりや
すかったと評判である。「男女共同参画の方に向かいまし
ょう」との明確な発言が、やまねこは最もありがたいと思
った。任期中に長野県下の市町村をくまなくまわって講演
をしていただけるといいだろうなあ。副知事が女性になっ
ただけで進むわけではない。けれど地域の中で、反対派に
足を引っ張られて声が小さくなったり迷いが出たりする人
々を、あるべき道に引き戻すことができるだろう。「さゆ
り効果」が全県下に及ぶことを期待して、やまねこは家路
についたのでした。

うらおもて・やまねこでした。