ページビューの合計

2012年1月30日月曜日

「除染」受注大手ゼネコン3社、原発を造ることで稼ぎ、壊れても稼ぐ


@@@@やまねこ通信183@@@@

28日土曜の朝、地震の揺れを感じました。だいぶ大きいな、
震度3あたりか、と思いましたが、茅野では震度2でした。

地震速報:2807:43 震源地:山梨県東部富士五湖、深さ
20kマグニチュード 5.5、最大震度5弱。

富士山噴火の予測も語られる中、震源地を聞いてどきり。
みなさまお住まいの地域ではいかがでしたか?


昨晩は、望月かつじ市議の市政報告会(小泉区民館)に出
席しました。大変な勉強家の望月さん。市政の隅々まで解
説してもらいすっきりしました。


帰宅時の車の温度計は-12度を指していました。


市議さんの報告会をできるだけ聞かせてもらいたいと思い
ます。予定があったら、お知らせくださいね。


●「除染143月完了、年50ミリシーベルト以下の地域優先
」毎日127日付。

50ミリシーベルト以下の地域を「除染特別区域」として
優先。特に役場や公民館、常磐道や上下水道などのインフラ
の除染を優先。

目的は住民の年間被曝量を昨年8月に比べて約半分に減らし
、子どもは約6割減を目標とすること。
「除染特別区域」の面積は約26700ヘクタールで、そこに
は農地を含む市街地、森林は含まれない。

●毎日「解説」も語るように、除染の効果は不明であり、
除染後のインフラ整備をどうするのか課題山積の上、住民
がその後帰還できるかどうかも不透明。

住民からは除染の効果を疑問視する声があがっている。

浪江町馬場町長は「戻れる地域と戻れない地域で街が二分
されてしまう」と語る。期間困難な地域には移住の費用を
補償してほしい」との声。

「除染してもまた山から放射性物質が流れてくる」との懸
念。若い世代は「帰らない」という人ばかり。

「うちは沢の水を生活用水にしている。山全体を除染しな
い限り、水の汚染は残る」。

被災地域の住民の声を読むと、環境省の除染計画が、胡散
臭いものであることが分かる。

除染という無駄遣いを、何のために強行するのだろう?

●造ることで稼ぎ、壊れても稼ぐ大手ゼネコンが握る「
除染利権」 (東京新聞「こちら特報部」12月8日)

「除染利権」、除染を担う企業体の幹事会社は、原発建設
のトップ3、大手ゼネコンだった。除染作業は原発建設企
業でなければできない作業ではない。

ところが被曝リスクの考慮からを口実に、通常より三割は
高額な請負。実際の作業は、下請け孫請けが担当する。大
手にとってはうまみある仕事。

福島原発事故後の除染モデル事業は独立行政法人・日本原
子力研究開発機構(原子力機構)が担う。けれど同機構が
再委託する三つの共同企業体(JV)の幹事会社は、原発
建設の受注でトップ3を占める大手ゼネコンであることが
分かった。

その名は、鹿島、大林組、大成建設の三社
造ることで稼ぎ、壊れても稼ぐという「モラルなき構図」。 

●以下、東京新聞の記事を丸ごと引用します。
内閣府から事業を受託した原子力機構が大手ゼネコンの大
成建設と鹿島、大林組が各幹事会社のJVに再委託した。
国からの約百十九億円の委託費に対し、同機構からJVへ
の発注総額は約七十二億円。ピンハネ批判が起きた。

除染作業は先月二十八日に大林組JVが大熊町でスタート
したのを皮切りに、七日までに五市町村で始まっている。

三JVには計二十五社が参加。モデル事業後の本格的な
除染ビジネスには巨額が投じられるとみられ、「モデ
ル事業はその唾付け」と言い切る業界関係者もいる。
このため、各社とも技術開発に躍起になってきた。大林組
は英国企業と提携し、衛星利用測位システム(GPS)を
使った放射線量測定の技術を導入。大成建設も放射線を遮
れるコンクリ製汚染廃棄物保管容器を開発するなどしてき
た。
 
だが、元日本原子力研究所研究員で技術評論家の桜井淳氏
は「除染はゼネコンにしかできない仕事ではない」と語る。

「作業をするのは下請けや孫請けで、ゼネコンはマージン
が狙い。被ばくリスクの考慮から、通常より三割は高額に
なるなどうまみのある仕事だ」と指摘する。

「原子力機構やゼネコン各社は原発建設を推進してきた。
今回の事故についても責任の一端はあるはずなのに、恥ず
かしくないのか。除染でも原子力ムラの中でカネを回すと
いう仕組みが、何ら変わっていない」

工学院大の田尾陽一客員教授(70)も、ゼネコンの独占
的な参入に疑問を抱く一人だ。田尾客員教授は六月に研究
者有志らと「ふくしま再生の会」を結成。同県飯舘村を拠
点に住民らの除染活動を支援してきた。同教授は「除染の
専門家はいまだにいない。除染は地域再生のためのステッ
プであって、金もうけの手段ではない」と批判する。

「一度除染しても、傾斜地などでは雨によってすぐ高線量
に戻ってしまう。繰り返さなければならない。住民グルー
プに委託し、長期的に実施する方が効果があるし、雇用創
出にもつながる。せめて原子力機構とゼネコンは、除染前
後のデータを公開するべきだ」

現段階での除染そのものに批判的な研究者もいる。東京農
工大の瀬戸昌之名誉教授(環境科学)は「取り除いた汚染
土壌は行き先がなく、積んでおくだけなので解決にはなら
ない。高線量地域は居住をあきらめ、そこに遮蔽(しゃへ
い)型の置き場をつくるしかないのではないか」と提言し
た。

ところで、本紙が入手した経済産業省資源エネルギー庁の
資料では、今回、除染モデル事業を受注した鹿島、大林組、
大成建設の三社は、全国全五十七基の原子炉建屋の建設実
績でも、そのベスト3を占めている。

鹿島は二十四基、大林組は十一基、大成建設は十基を受注。
以下、竹中工務店(七基)、清水建設(五基)と続く。原
子炉建屋での実績が、そのままモデル事業の受注にも反映
された形だ。

業界関係者によると、原発は業界で「打ち出の小づち」と
呼ばれる。1号機の建屋を建設したゼネコンが後発機の建
屋も受注するケースが多く、福島第一では六基とも鹿島、
大飯(四基)と玄海(同)はすべて大林組が受注している。
資料によると、五十七基の原子炉や建屋を含む総建設費は
約十三兆円に上る。

ある中堅ゼネコンの幹部は「大手ゼネコンは建設予定地の
買収段階から実際には動きだす。買収資金はゼネコン側が
立て替えるのが一般的で、中小のゼネコンでは手が出せな
い」と説明する。

●建設では「高度な技術力が必要」という理由から、ほぼ
ゼネコンの言い値で受注金額が決まるという。この幹部は
「一昔前は入札ではなくて特命契約だし、公共工事に比べ
ても国策なので単価は割高。各社とも電力会社担当
置いて、し烈な受注競争を展開している」と打ち明ける。

除染事業の受注に期待を寄せていた福島県内の建設業者の
一人は「(ゼネコンは)下請けも県外の系列会社を連れて
くるだろうから、地元に落ちる金は少ない。そもそも除染
は人海戦術が柱で、高度な技術はそれほど必要ない。ゼネ
コンにやらせる理由はまったく見当たらない」と憤る。

除染モデル事業を委託された原子力機構は、事故隠しを重
ねた旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の流れをくみ、
政策仕分けで見直しを指摘された高速増殖原型炉「もんじ
ゅ」(福井県敦賀市)を運営する。その原子力機構と、原
発建設に携わるスーパーゼネコンが事故の後始末を再び仕
切る構図が浮かぶ。

●「環境放射能除染学会」も原子力ムラ汚染
十一月には、研究者らでつくる「環境放射能除染学会」が
発足した。「旧来の学問領域を超えていろいろな分野の専
門家が集まり、議論と情報交換ができる場が必要」という
設立趣旨だが、発起人の所属先をみると、鹿島や竹中工務
店、電力九社の出資による財団法人「電力中央研究所」と
いった名前もある。日本原子力学会会長で、事故後も原発
推進の旗を掲げる東京大大学院の田中知教授も名を連ねて
いる。

定期的に福島入りし、住民とともに除染活動を続けている
京都精華大の山田国広教授(環境学)は「住民にとり、一
番大事なのは放射線量を下げること。それができるならゼ
ネコンでも何でも構わない」としつつ、「現段階でゼネコ
ンが効果的に除染をやれるとは思えない。恣意(しい)的
に仕事を回し、利権を与えているように見える」と話す。
 
「除染方法は徐々に改善しながら進めていくしかない。地
域ごとに状況は違う。臨機応変に対応するには、現地を知
っている市町村に任せることが最適ではないのか」。

●やまねこは思う。除染にも原発の利権構造が持ち込まれ
ている。効果が疑問の除染作業に巨額をつぎ込む。ところ
が地元企業は入り込めない。

被災地を食い物にする大手ゼネコン、鹿島、大林、大成、
さらに竹中、清水。これらの企業に税金である復興予算が
回収される構図。この国の赤字を生み出した構造は「フク
シマ」以後も、まったく変わっていないことが分かります。


うらおもて・やまねこでした。

2012年1月26日木曜日

茅野のパワースポット・民俗芸能の足跡展、成瀬巳喜男『晩菊』


@@@@やまねこ通信182@@@@



今日の気温は午前中が-8℃。午後は快晴の青空、日光の
照りつける空の下でありながら、最高気温が-3℃!

日本海側の冬景色が頭から離れないやまねこにとって、とて
も信じられない一日でした。

   民族芸能の足跡展 
「見に来て!地域の宝物」
「今も息づく伝統行事、暮しの中で受け継がれていた村芝居」
「茅野のあちこちに残る 貴重な道具や衣装を展示します」。
こんなチラシをもらった。

今日が初日。市民館のギャラリーは、美術展会場のみに普段
は利用される場所。

ところがである。
今日ばかりは舞台をしつらえ、展示された衣装が今にも踊りだ
しそうな妖しい雰囲気を放っていた。
今日が初日。
これから5日間の民族芸能足跡展の幕開けである。

獅子頭がひな壇にずらりと39点(訂正)ばかり並び、歯を剥きだ
して精いっぱいの恐い顔で迎えてくれる。

さらにお神楽の仮面が幾つも。(加筆49点)滑稽な面が多い。青
い顔で赤い舌をべろりと出した一つ目小僧も見つかる。次には
人形浄瑠璃の人形頭。宮川小学校の所蔵という。

奥の方は舞台となっている。金糸銀糸の輝きを残す田舎歌舞
伎の衣装が、いまにも踊りださんばかり。
子ども用の袢纏と股引も。

さて次は、今に残る舞台の写真。泉野槻木舞台・大山祇神社
(文久3年、1862年)、米沢塩沢舞台・瀬神社(文久31863
年)、米沢北大塩舞台・宝勝寺(安政、1860年)、宮川田沢舞
台・福田稲荷社(天保121841年再建)。

そうそう、これら神社仏閣の回り舞台の縁の下を見て歩くツア
ーに、やまねこも参加したのでした。あのようなフィールドワー
クが、こんな形に実って展示されているのか。

やまねこ通信「台風12号、古い芸能舞台巡り、境内の栃の実」

さらに進むと、戦前からの結婚式の白黒写真が8点ばかり展
示されている。どの花嫁花婿も、真面目くさった表情。


展示総数150以上。
「お借りした数は200以上でしたが、展示しきれなく
て・・・」と、サポートCの原房子さん。

   丁度そこに、高齢者のみなさんが車いすを押され、ステッ
キをついたり、手をつながれたりのそれぞれの仕方で、ゆっくり
と、見学においでになった。

獅子頭の前で、
「昔、よく見たよ」

田舎歌舞伎衣装の前で、
「芝居、好きで見とったもんだ」
こんなひとり語りとともに、奥の方まで見学が進んでゆく。

NHKの取材が入っていた。
「あら、NHKさまですか」
こんな声も聞こえた。

「市民館訪問の最高齢者かもしれない」
ガイド役の原房子さんの声。
車いすに乗って目を輝かせた女性が、100歳を超えてお
られたらしい。

高齢の皆さんは、あるデイケアセンターからの帰宅途中
に立ち寄られたらしい。社会福祉協議会のユニフォーム
を着た皆さんの付添であった。

子ども時代に親しんだものを見て、どきどき、わくわく感
動することは、認知症を食い止めるためにも有益であろう。
民俗芸能の展示も、さまざまな役立ち方があるものだと
感心。

●段ボールでお獅子を作ろう。
ギャラリーの裏では、子どもたちの作った段ボール獅子
が展示されている。

ミカン箱の底に獅子の恐い顔を描き、
周囲に赤い色、青い色を塗って、唐草模様の風呂敷を
垂らすなら、これでお獅子一丁の出来あがりである。
簡単で楽しそう!

ああ、面白かった!
創意工夫にあふれている。展示あり、参加型あり、劇場
型あり、別の日にはシンポジウムあり。


いつもはすっきりと何もない市民館の柱や壁に、
段ボールや模造紙で、不定型な掲示が。
これはいいね。

わくわく、どきどき、いきいき感が、これで高ま
った。

お祭りは、普段と違う晴れの日。普段と違ったこ
とを工夫して楽しめるといい。

大人たちは子ども時代に面白かったことを思い出
したらいいのよ。忘れてたら、おばあちゃんや子
どもたちに聞いてみたらいいのよ。

どきどき、わくわくパワースポットの市民館、地域文化創
造、サポートCの元気印のみなさんの仕事からは、目が
離せない。

みなさん、ふるってお出かけ下さいね~。

   今後の日程です。
人形浄瑠璃から茅野の芸能の歴史を探ろう
箕輪町・古田人形芝居保存会「傾城阿波鳴門」上演

1月28日(土)13:30開演茅野市民館マルチホール
マルチホール 入場無料 

箕輪町の古田人形芝居保存会の方々をお招きして人
形浄瑠璃の公演とシンポジウムを行います。宮川小
学校にある人形浄瑠璃の貴重な人形の頭を手ががり
に茅野市の伝統芸能の歴史を探ります。

出演:湖東新井太神楽保存会 伊藤世紀
    箕輪町古田人形芝居保存会 柴登巳夫
    茅野市民館コアアドバイザー 徳永高志
茅野市民館指定管理者 株式会社地域文化創造
代表取締役専務 辻野隆之
NPO法人サポートC 原房子

次をクリックしていただくと、茅野市民館のHPにリンクします。


★●★こちらも、どきどき、わくわくパワースポット
成瀬巳喜男『晩菊』を手掛かりに女たちの「老い」に向き合
おう。

「老い」こそは、誰しも迎える「弱さ」との出会い。けれど、も
はや失うものがない境地に至ったとき、私たちは、これまで
にない「強さ」を得ることができるのではないでしょうか。初
めて得られる「強さ」はいったいどんなものかしら。

次は、ハガキ、メールでお送りしたご連絡と同じです。

21回茅野市男女共同参画講座を下記の日程で開き
ます。

前回から「脱原発・自然エネルギーの社会を、男女
共同参画の社会にしましょう!」とのフレーズを共
有しています。

テキストは成瀬巳喜男監督『晩菊』(1954年)
日時:128日(土) 受付:午後12時半
開始:午後1時~4時、開催時間を短縮しました。

誰しも避けることのできぬ老年に差し掛かった女た
ちの生き方に向き合ってみよう。

資産を蓄え貸し金の取り立てに忙しいきん
(杉村春子)、
夫と二人で居酒屋を開くのぶ(沢村貞子)、
憎しみの言葉をぶつける息子と二人暮らしのたまえ
(細川ちか子)、
お金にだらしないとみ(望月優子)と出来の良い娘
(有馬稲子)。

四者四様の暮らしぶりが路地裏を背景に描かれる。
四人は昔、芸者をしていたころのからの古馴染み。
きんの許にかつての恋人(上原謙)が訪問。

職業や立場を超え、女たちの連帯が見つからないだ
ろうか。

林芙美子原作の「晩菊」「水仙」「白鷺」を合わせ
たシナリオ。

脚本田中澄江、井出俊郎。
ジェンダー意識の基本を学習する講座。
「男たちの男女共同参画」ミニ講座付き。

    記
・場所:諏訪東京理科大学4号館432教室・
  司会:奈良裕美子、報告:藤瀬恭子、会場:
  清藤多加子

・主題:「女たちの階級差は何によって生まれるか?」
雑費:100円をお願いいたします。

(会員制)(1月、3月、5月、7月、9月、11月、最
土曜日開催)

主催:茅野市男女共同参画を進める会、代表・藤瀬恭子
お問合せ:茅野市家庭教育センター(0266-73-0888
(以上、ハガキと同じ)

 成瀬巳喜男映画のテキストは、『晩菊』をもって
終了し、その後、5月より、信州臼田町出身の丸岡秀
著作をテキストにする予定です。

茅野市男女共同参画を進める会
 藤瀬恭子(代表)
 清藤多加子
 奈良裕美子

以上のようなメールを、お送りしました。家庭教育セ
ンターから、ハガキでお届けした方々もあります。

331日は、成瀬巳喜男の総まとめ。なつかしの成瀬、
題して「なつなる」とのキャッチフレーズのもと、ま
めてメンドー見る会にしたいと思います。どうかお楽し
みに。

その後は、信州臼田町出身の丸岡秀子の著作、映画
『ひとすじの道』をテキストにします。

丸岡秀子も寄稿している『10代で何を食べたか(平
凡社ライブラリー)という書物が仲間の間で好評です。

この本に倣って、「私たちは10代で何を食べたか」
いうテーマで、昔の食事を料理する食事会などのイベン
トも考えています。

どうか、ご期待ください。

うらおもて・やまねこでした。


27日、一部、加筆・訂正しました。(やまねこ)


東大と11大学、原発推進も、秋入学も、けれど隠された大きな問題が

@@@@やまねこ通信181@@@@


ブログの色合いを変えてみました。新しいアパートに引っ
越したような気分ですが、みなさまのご感想はいかがですか。

東大が秋入学を検討しています。秋入学が「国際標準」の
ため、外国からの留学生を受入れ、日本の学生の海外留学
を促すにあたり、春入学制度では不利であるとの理由です。

世界大学ランキングでは、8年連続でトップのハーバードは
2位となり、今回1位はカリフォルニア工科大学。日本の大
学では東京大学が全体で30位でした。

上位は、カリフォルニア工科大学、ハーバード大学のほか、
スタンフォード大学やケンブリッジ大学、オックスフォー
ド大学など米・英の主要大学、秋入学の大学です。

東大は、北海道大、東北大、筑波大、東京工業大、一橋大、
名古屋大、京都大、大阪大、九州大の旧帝大などと、早稲
田大と慶応大の11大学に参加を打診して、課題や実施方法
について議論を始めます。


今のところ、入試はこれまで通り春に行い、秋に入学・卒
業となる模様。このため、入試が終わった春から夏休みま
での期間をギャップ・タームと呼んで、その期間に、受験
時代には出来なかった、ボランティアのような社会活動、
外国旅行などを組み込むなどの案が出されています。


●地方大学からの異論、就職不利 (毎日新聞web版)
「東大や旧帝大など有力大学が秋入学移行に理解を示す一
方、地域密着型の地方大学からは「就職に不利になる」「
社会の受け皿がない」などと、現行の年度制とのずれに懸
念を示す声が相次いだ。


背景には就職が4月に集中している現状に加え、春の合格
発表から入学までの“空白期間”への不安があり、「社会
的な整備が先だ」とする意見も多く出された。
「就職の受け皿など社会全体の基盤作りが不可欠であり、
現時点では時期尚早と考える」。愛媛大の柳沢康信学長は
秋入学移行に否定的な立場だ。

帯広畜産大の長沢秀行学長は「社会システムも同時に変革
するのでなければ、受験生を混乱させるだけ」と、秋入学
に合わせた社会の仕組みの整備を先行して行う必要性を強
調する。

徳島大の香川征学長は「留学生数、地域の人口などを総合
的に判断する必要がある」とし、今後、想定される少子化
や過疎化対策を踏まえ、留学生の導入による大学経営の必
要を視野にいれなければならない現状を示唆した。


●やまねこは、地方大学の異論のほうが身近に感じられま
す。


東大が野心を燃やす、世界大学ランキング上位への食い込
みや国際競争が大切か。

はたまた、地元企業に就職する全国の大学生の卒業時期が
大切か?

当事者にとってはどちらも切実に違いありません。

この議論は、東大が11大学に声をかけ、「国際化」の旗印
の下、原発問題を見ても分かる利益至上主義、集団主義の
経団連を巻き込んでの世論形成の過程を進めているように
見えます。

けれど、どうして11大学だけで議論するの?どうして私立
大学が2校しか加わっていないの?国際交流の先進的な大
は他にもあるんじゃないの?
(その後、立命館大学が参加しました。)

入試が今と同じように春であれば、4年制大学が、4年半
制大学になって、保護者の負担が増大するんじゃないの?


それとも、エリート大学は9月入学、その他の大学は4月
入学にして、大学の2極分化を加速させることになるんじ
ゃないの?


幾つもの疑問が浮かびます。けれど、これらの疑問は比較
的小さな疑問です。

根源的な問題が、実は語られないままに隠蔽放置されてい
ます。大学が9月入学の国々では、幼稚園、小中高の学校も
同様に9月新学期なのです。

目下、東大中心に進行している9月入学論は、この国の幼
稚園、小中高の教育制度の全体構想を無視したまま、東大
+11エリート大学の「国際競争力」をいかにして強化す
るかという、切実さは理解できるけれど、全体から見てき
わめて部分的な問題を突出させ、独り歩きさせている出来
事なのです。


東大プラス11大学の構想を経団連が後押しするという構
図。見たことがあるとの既視感に付きまとわれます。
それもそのはず、 これって原発推進大学の在り方に酷似し
ているのではないか!

●原発推進:11大学に104億円 国と企業が提供

東京大や京都大など11国立大学の原子力関連研究に対し、
06~10年度、国や原子力関連企業などから少なくとも
104億8764万円の資金が提供されたことが、毎日新
聞の集計で分かった。

規模の大きな大学は毎年、数億円規模で受け取っている。
「原子力推進」に沿う限り、研究資金を安定的に得られる
仕組みで、大学が国策に組み込まれている構図が鮮明にな
った。

ほとんどは受託研究が占め93億円。特に国からの委託は
高額で、文部科学省が福井大に委託した「『もんじゅ』に
おける高速増殖炉の実用化のための中核的研究開発」(5
億1463万円、10年度)など億単位も目立つ。

 

個人別で最多だったのは、福島第1原発事故直後、当時の
菅直人首相から内閣官房参与に任命された有冨正憲・東京
工業大教授で1885万円。


一方、原発の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた京都大の小
出裕章、今中哲二の両助教には、「原子力マネー」の提供
はなかった。


寄付講座は4大学が電力会社などの寄付で開設し、総額4
億9100万円だった。大学別では、京都大33億640
万円、東京大25億5895万円、東京工業大16億74
81万円の順だった」。

さらに福井大、名古屋大、大阪大、北海道大、九州大、茨
城大、富山大、神戸大の計11校。


旧帝大と東工大、それに原発立地県の大学の名前が並んで
ますね。


● 秋入学を決定するにあたっての、議論の運び方に、胡
散臭い臭気が漂うのを嗅ぎ付けないわけにはゆきません。

東大中心の11大学が経団連の力を借りて世論形成をして、
どのあたりで実行するのか。蚊帳の外の受身に置かれた大
学、企業との2極分化を当然の前提としているように見え
ます。

東大と経団連の協力体制、これを原発推進方式と呼ぶこと
にしましょう。


こんな具合にしてこの国に大きな問題が、社会的に了解決
定されてゆく手続きが、果たして許されるのかなあ?

それにしても、細かく口をさしはさむのが大好きな文科省
はどうしたのでしょう。


そうか、そうか、文科省主導だと反発を招いて実現が難し
い。だから、東大と「実行力ある」経団連に丸投げしたの
かもしれません。企業が卒業生を受け容れなくては実現不
可能ですからね。

だとすれば、文科省の無力が、こうした原発方式の手続き
を招いているのではないか。こうやまねこは訝るものです。

むしろ、企業の了解が必要だから、経団連を巻き込む必要
がある。国民的議論を促すために必要な手続きであること
を、文科省は語ったらいいじゃない!

そうして、大学だけでなく、幼小中高のすべての学校の現
在の体制を見直す切っ掛けを作ったらいいんじゃない!

やまねこはこんなふうに考えます。

みなさまは、どのようにお考えでしょうか?

このことに関して、ならゆみさんからメールをいただきま
した。


「兄がアメリカ転勤中に、姪がアメリカの小学校に通って
いたことを思い出しました。


日本は1回しか、卒業式がありませんが、アメリカは6月
だけでなく、12月も卒業式が開かれました。大学院生だ
けでなく、学部生も同様です。

日本はどの程度、アメリカの制度を取り入れるつもりなの
でしょうか」。


外国の事情は、思いのほか複雑な模様です。

ご存知の方もおいででしょう。どうか、お考えをお寄せく
ださい。



うらおもて・やまねこでした。