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2012年5月19日土曜日

日経だけが報道した「事件」、「長時間労働是正を」女性経営者ら経産相に注文


@@@@やまねこ通信197@@@@

日経だけが掲載した「事件」

●女性経営者たちが、「長時間労働を強いる企業は、行政と
の取引関係の強い企業である」と、経産相に改善を求めた。

長時間労働を放置すれば、その企業で働く勤労者は、出産子
育てに時間を割くことが出来ない。子育てが、社会の将来を
作る不可欠の仕事であることを、考えたことのない社会や組
織だけが、長時間労働を黙認するだろう。

ところがこの国では、国の機関である官公庁と、官公庁との
取引関係の強い企業こそが、長時間労働の最たるものである
と、記事は語っている。

枝野経産相は弁解する。経産相は「霞が関の残業時間が長い
のは(国会対応など)永田町という取引先があるから」と。

けれど、小室淑恵社長から「相手のせいだと思っていると、
(長時間労働の習慣は)変わらない」と詰め寄られた。

この事件が語るのは、国の行政が、子作りと子育てを社会の
中心的課題と、今なお考えていないことの何よりの証拠であ
る。

官公庁の長時間労働は、「国を背負うエリート」の誇り高い
仕事の証明、取引企業は「お上の仕事を受ける立派な企業」
の証明と受け止められ、男性ばかりが参加できる「メンズ・
クラブ」をなしているらしい。

話は変わるが、内閣改造の際に、「実務型」内閣と呼ばれる
組閣をする場合、女性の入閣が少ない。「仕事をするのは男
性」であると、政府が国民に向って、アナウンスしていると
同じである。

長時間残業をする男性たちが「国を背負うエリート」である
ことを当たり前とみなす社会は、女性がキャリアや将来の
・希望を投げ捨て、子どもを作ったら専業主婦になること
当たり前とみなす社会である。

わたしたちの暮らすこの国は、まだこんな段階なのだ。
経産相に女性経営者たちが異議を唱えた「事件」。

ところが日経以外の新聞は、そこにニュースヴァリューを読
み取ることができず、記事にもしなかったと見える。

日本社会はまだ、「男は外」「女は内」のジェンダー役割分
業の殻を壊していないことに、まだ、気づいてさえいない。


以下、日経ウェブ記事引用。

行政との取引関係が強い企業の社員ほど長時間労働している
――。枝野幸男経済産業相は17日、経産省内で女性経営者ら
と懇談し、こんな指摘を受けた。女性が出産や育児に専念し
つつ社会にも進出するには、企業の長時間労働という慣習を
見直すべきだとの注文が相次いだ。

 IT(情報技術)関連企業のネットイヤーグループの石黒
不二代社長など8人の女性経営者が集まった。

 行政との取引の多さと労働時間の関係を指摘したのは、仕
事と生活の調和を助言するワーク・ライフバランスの小室淑
恵社長。経産相は「霞が関の残業時間が長いのは(国会対応
など)永田町という取引先があるから」と返したが、小室社
長から「相手のせいだと思っていると、(長時間労働の習慣
は)変わらない」と詰め寄られた。

 コンサル経営のイー・ウーマンの佐々木かをり社長は「女
性が働くことの経済メリットを示すデータをどんどん出し
ほしい」と求めた」。

この問題について、やまねこ通信バックナンバーをご訪問く
ださい。

女性の力が生かされてない日本社会を見て、中国人の女性た
ちが吃驚しています。やまねこ通信150

男女共同参画はなぜ必要か?やまねこ通信160

男女の社会的格差をあらわすジェンダーギャップ指数、日本
138カ国中98位 やまねこ通信149


うらおもて・やまねこでした。

2012年5月17日木曜日

「第四の消費」の時代、だから、「ちの男女共生ネット」が必要とされている


@@@@やまねこ通信196@@@@

 三浦展氏は、パルコの雑誌『アクロス』編集長として出発。
ずっと若者の消費論を展開し、『下流社会』でブレークした
。新刊『第四の消費』(朝日新書903円)が出た。書評が毎
日新聞(5/13)に登場。評者は手塚さや香氏。

ちの男女共生ネットを立ち上げたばかりのやまねこの思いと、
この本の関心があまりにも近いことにピンと来たのでご紹介
しよう。

「物」から「つながり」の時代へ、
著者は戦後日本人の消費を研究テーマとし、消費の切り口で、
格差の拡大や少子高齢化、晩婚化などの社会現象の背景を分
析し展望を語ってきた。

今は「第四の消費」の時代という。
第一から第三の消費の時代とそれぞれの特徴は次の通り。

第一は191241年、大都市中心に中流層が誕生。
 national(国家重視)

第二は敗戦から高度経済成長、第一次石油ショック後の74
まで。
 family (家族重視、家族と一体の会社重視)

第三はその後の低成長期から地価高騰、バブル崩壊の末に格
差が拡大してゆくまで。
 individual (個人重視)

そうして第四の消費が95年から07年の間に始まった。
 social   (社会重視)

第四の消費は、「物やサービスの消費だけでなく、消費を通
して人と知り合ったり、社会貢献したり、旅行先で交流する、
というように『つながり』を重視するのが特徴と分析。

90年代からフリーマーケットや古着の流行という新しい消費
動向が見られた。けれど当時は「若者論」の域を出なかった。
けれど若者たちが歳を重ねる中、脱物質的価値観が拡大。一
時の流行ではなく根源的な価値観の変化が起こっていると著
者は確信。

「物を買えば幸せになれる時代は終わり、物でない何によっ
て幸せになれるかを、多くの人が考え始めた」。
このように、消費研究家三浦展は締めくくる。

三浦展氏の『第四の消費』の書評をもとにしてここで紹介
た。やまねこはこれから同書を購読する予定である。

三浦展氏の語る、「物」から「つながり」の変化が、「既成
組織」から「ゆるやかなネットワーク」への変化に連動する
ものと、やまねこには思われる。

孤独なゲーム遊びから、twitterfacebook、携帯メールなど
のソーシャルメディアへの変化などに思い当たる方々も多い
であろう。

同時に、生まれも育ちも一つの地域であった定住者の暮らし
とは異なって、生まれた地域から就職や結婚を切っ掛けに移
動した人々、子どもたちが外に出て行った人々、親たちの介
護のため、日常的に大きな距離の移動を余儀なくされている
人々。この人々の暮らしに連動するものともやまねこには思
われる。

やまねこの暮らす地域では、今も、旧い住民の方々が地域活
動て中心的役割を担っておられるように見える。

実は旧い住民の中でも最も旧い方々と思われる連合婦人会の
みなさまに、やまねこたちは、非常にお世話になり、たくさ
んのことを教えていただいたことを感謝している。これから
も大いに教わることがあることを楽しみにしている。
ここから、「地域に学ぶ」というアイディアが生まれてきた
ことをお伝えしなくてはならない。

けれど、茅野市も人口5万人を超えている。ちの町、玉川村、
豊平村、湖東村、米沢村、北山村以来の住民だけでなく、多
数の新しい住民が暮らしていることも確かである。

旧い村時代からの住民と、移動してきた住民の、両方の人々
が交流できる機会があるといい。

同時に、すでに何かを求める人々に向けた組織が、ファミレ
スのメニューのように、地域にはたくさん見つかるかもしれ
ない。

華道、茶道、エアロビクス、俳句、短歌、絵画、コーラス、
ダンス、詩吟、柔剣道、合気道、ウオーキング、環境ウオッ
チ、歴史、文学、等々。

あなたは、どこかのサークルに属しているかもしれない。け
れど、何かもっと別の「意味あること」が見つからないだろ
うか?

結婚して子育てしている。職業もあるから大忙しで、とても
時間が見つからない。けれど、別の生き方、別の世代のの女
たちと出会って、社会の「つながり」を考え、町内会とは違
う新しい「つながり」、新しい活動に加わることが出来ない
だろうか!

子どもの手が離れてしまった。子どもたちは親である自分た
ちとはすっかり違った考えのようだ。一人の人間として、自
分の生涯を顧みる機会が欲しい。

ちの男女共生ネットを仲間と共に立ち上げたやまねこは、少
子高齢化、晩婚化、非婚化、家族の多様化と流動化、その中
での、女たちの生き方の多様化、さらに新しい地域、新しい
「つながり」への思いをみなさんと共有したいと願っていま
す。

こんな考えにピンときた方は、どうか、ご連絡ください。
0266-71-6633、090-9664-1894
(ふじせ)kfujise@po30.lcv.ne.jp



うらおもて・やまねこでした。

女性役員のいない会社、異論が言えない組織はオリンパスだけのものか?


@@@@やまねこ通信195@@@@

 浜田正晴著「オリンパスの闇と闘い続けて」(浜田正晴著
光文社1470円)という本の書評を読んだ(毎日新聞5/13)。

数年前まで営業の第一線にいた著者は、取引先の秘密情報を
知る社員を引き抜こうとした上司の行為を不正と考え、社内
のコンプライアンス窓口に通報。

ところが秘密は守られず、上司の知るところとなり、たちま
ち閑職へと追われた。配置転換無効の確認を求めて提訴、東
京高裁で昨年8月逆転勝訴した。

著者が弁護士を探して訴えを起こし法廷闘争を続けながら会
社勤めをした苦労が描かれている。

「正しいことでも異論を唱えれば外に出される」「風通しが
悪く、意見を自由に言えない」。オリンパスの社風はこんな
だと著者は評している。

昨年発覚した巨額損失隠し問題を調査した第三者委員会が、
同様の指摘をしているいるのも偶然ではないだろう。
以上は、書評をやまねこが短くまとめたものである。

オリンパスなどの個々の企業に関心があるのではない。そう
ではなく、企業を含むこの国の組織、役所であれ、大学であ
れ、どれも申し合わせたように、同じ体質であることにやま
ねこは驚いているのである。

どの組織も同じように、内部の秩序を最大に重視し、組織体
系の責任者が、然るべき職務を果たしていると主張している。
中間管理職が無能であったり、怠慢であったり、コンプライ
アンスを順守しないことを、組織の中の者がボトムアップす
る機関はほとんどない。

ボトムアップする窓口、オリンパスの「コンプライアンス窓
口」などに注進したら、とんでもない。注進したものがわる
ものにされて、排除されてゆく。

つまりは、その窓口は、社内の異論を取り締まり、異論を語
る者を絞め殺すための落し穴だったのだ。

みなさんもこうした現実と日常的に接触する場に居合わせて
いないだろうか。

オリンパスと同じ体質の組織は、社内の秩序を最大に重視し
ている。上意下達に間違いないことを黙認する社員だけが生
き延びる。社内の各部署の担当者の面子、名誉が最大に重視
されていている。それらが、企業そのものを代表しているか
のように。

上の政策に問題があることに対してアラームを出したり、中
間管理職が政策を実行せず、無能や怠慢であり、あるいは逸
脱を行ってるとの訴えのアラームを出した者は、息の根を止
められる。

こうした組織は、警告のアラームベルの電源を切ってしまっ
たも同然である。小さな警告に耳を傾ける能力を失ったこの
組織は、その瞬間から、崩壊への道を歩む。気が付いた時は
もう遅い。

再び「オリンパスの闇」の書評記事に戻ろう。2審で敗訴し
た会社側は判決を不服として上告。著者は職場で孤立させら
れ、仕事らしい仕事も与えられない。それでも「今日も明日
も明後日も堂々と会社に通い続けるつもりだ」と著者は語る。

こうした社員こそ、「愛社精神」の持ち主なのだ。評者のこ
のコメントにやまねこは100%同意する。

オリンパス、大王製紙、東京電力は、どれも女性役員のいな
い企業です。やまねこ通信174号をご訪問ください。



うらおもて・やまねこでした。

2012年5月5日土曜日

映画『丸岡秀子 ひとすじの道』上映・勉強会5月26日(土)、 旧中込学校訪問記


@@@@やまねこ通信194@@@@

●「マルチな分野で本を書き、行動した丸岡秀子。女性と農村、
政治、経済、社会、教育、子育て、人権、反戦、親しい者との
別れのエッセー。シングルマザーの秀子は自立した女性のパイ
オニア。その活躍ぶりは今なら、勝間和代!けれど、弱い者た
ちへの共感に満ちているから、香山リカに相談しなくて済む、
丸岡秀子。

苦難が彼女をつよくした!ここに「あなたの物語」を発見しま
しょう」。

こんなチラシを配布しています。

信州佐久・臼田に生まれ、中込で育った丸岡秀子(1903-1990
は、子連れで全国の農村をくまなく歩いて調査し、苦境におか
れた農村の中でも、女たちが最下層におかれ、死産、流産が多
く、堕胎、間引きの誘惑の中に生きている状況を『日本農村女
性問題』(1937年)で明らかにしました。

近代日本を底辺で支えたのが農村であったことは頻繁に語られ
ています。けれどその最底辺に女たちがいたことは、なかなか
語られません。都市女性だけに関心が集まっていた「女性問題」
の世界に、丸岡秀子は、農村女性の分野を開拓しました。都市
労働女性の多数が、実は農村の出身なのでした。

「農村女性」に対する秀子の生涯にわたる熱い思いの原点は、
秀子を生んで十ケ月後、24歳で死去した実母、その後、母代り
で育ててくれた母方の祖母、一緒に育った常、農業労働者であ
るその母ら、重労働の中で、命をつないだ信州・中込の女たち
でした。3部からなる自伝小説に基づいた、映画『ひとすじの
道』は、丸岡秀子の生涯を描いています。

会場:諏訪東京理科大学4号館432室
入場料:500円、無料託児所あります。ご連絡ください。
問い合わせ先:090-9664-1894(ふじせ)
主催:ちの男女共生ネット
後援:茅野市、茅野市教育委員会

ちの男女共生ネット主催のこの会は、これまで4年にわたって年
6回開催してきた、成瀬巳喜男映画を「女性学」「男性学」で分
析しながら、男性社会の仕組みをジェンダー批判する「講座」、
茅野市男女共同参画を進める会主催の「講座」の発展的形態です。

これまでご参加くださったみなさま、初めてのみなさまも、どう
かご参加くださいますようにお願いいたします。

  苦難が丸岡秀子をつよくしました。
フィリッピンで原発を廃止に持ちこみ、米軍を撤退させた非核連
合事務局長のコラソン・ファブロスさんは語りました。
「事態が厳しくなればなるほど、私たち、力が湧き出すんですよ
!」
丸岡秀子も、きっと同じ思いでいただろうとやまねこは考えてい
ます。

  丸岡秀子の足跡訪問記
  ちの男女共生ネット、キックオフの会の2日後28日(土)、
新しく発足したネットのメンバーの間で、時間の都合の良かった、
さちほさん、せいたかさん、やまねこの3人は、旧中込学校、臼田
清集館の佐々木都さんを訪問しました。佐々木さんは丸岡秀子記
念碑の建設を発案し、建設委員長を務めた方です。信濃毎日への
投稿歴が長く、文筆活動も旺盛。信州の女性の間で知る人ぞ知る
方なのでした。

丸岡秀子のことに詳しい方が見当たらないか、知人友人に問い合
わせるうち、とんとん話が進み、佐々木都さんに紹介してくださ
る方があらわれ、お目にかかることになった。

●佐久地方は、やまねこたちの住む茅野から見れば、蓼科山の向
こう側。白樺湖を越えてドライブすれば1時間半ほどで到着する。

 丸岡秀子の旧姓は井出ひでという。父の家は臼田の橘倉酒造。弟
  である政治家の井出一太郎はじめ、有力な親族を何人も出してい
  る名家である。

  けれど、秀子は、裕福な名家で育ったのではない。両親の最初
  の子供だった秀子は、母の産後の肥立ちが良くないため、母に伴
  われ実家に暮らすうち、秀子10か月の折、母が死去した。その後、
  父が迎えに来ることがなく、秀子はずっと祖父母のもとで暮らし
  た。

母方の祖父の家はかつて庄屋の家柄だったが、土地を抵当に入れ
たことが元で、地主に土地を借りる立場に転じていた。1年の収
穫が土間に積み上げられたと思う間もなく、地主の荷車がやって
きては、俵をどんどん運びだし、最後には3俵しか残らなかった。

この3俵に麦を加えて、祖父母と秀子は1年を食いつないだ。

丸岡秀子は書いている。
「私の小学校時代は、三杯飯に味噌汁と野沢菜が、毎日の食事で
した」。
「没落庄屋のぼんぼん育ちの祖父が、五反百姓となり、肩を落と
した暮らしを祖母が必死で支えている中で、若くて死んだ娘の遺
児である孫のわたしを引き取って育てることは、容易なことでは
なかったと思う。

ことに、地主小作制度のきびしい時代で、ようやくコメを収穫し
て年貢を納め、さらにそれまでにたまった借金を返したあとの自
家用米は、何ほども残らなかった。翌年の2,3月になると、農
家でいながら、コメの一升買いが始まる。
だから毎日のごはんには、ほとんど、麦が入り、「おほうとう」
といったうどんで過ごす夜も何度かあった」。
(『十代に何を食べたか』平凡社+未来社編(平凡社ライブラリ
ー))

丸岡秀子が臼田の裕福な酒造家の長女として育ったかのように語
ることは、大きな間違いである。

秀子は貧しい祖父母の家と、共に育った常、その母たちなど、最
底辺で命をつなぐ女たちの生を自分のものとして選択したのであ
る。このことを、秀子は小説「ひとすじの道」に書いた。

中込の暮らしが自分をつよい人間に育てあげた原点であることを、
小説を書きながら著者秀子は噛みしめていた。

  旧中込学校訪問
  丸岡秀子が通った中込小学校は、明治6年(1873年)、成知学
 校として創立し、8年に校舎が出来た。現在この旧校舎は、博物館
 として、見学者を集めている木造の西洋建築。一階教室は、黒光
 りした床の上に小さな机と椅子が並べられ、机には石板が置いて
 ある。

二階は明治時代の教科書、算盤などの展示室。「井出ひで」の名
が最初に書かれた、生徒の出席簿、卒業写真も見られる。

二階の廊下に、太鼓楼入口の標識がある。薄暗い照明の中、木造
の急傾斜のらせん階段を昇ってゆく。頭をぶつけぬように気を配
りながら、手探りで登りつめたところが、太鼓楼だった。

なるほど天井を見るとその輪郭が八角形。中心から大きな太鼓が
吊り下がっている。白地の天井には、小さな文字で、地名が書か
れている。中心に中込、四方八方を囲む山の外側には信州の地名、
もっと外側には、横浜、札幌など日本の都市の地名、さらに外側
にサンフランシスコ、ワシントン、メルボルン、ケープタウン、
マドリード、ハンブルグなど、世界の都市の地名が書かれている。

八角形の天井に書かれたのは、信州中込を中心とした世界図なの
であった。
  
 おそらく普段は、子どもたちが立ち入りを禁じられていたこの太鼓
 楼。「ひとすじの道」には、卒業を控えた子供たちが、先生に連れ
 られてここに昇り、中込の向こうには、広い世界が広がっているこ
 とを、感動とともに知る場面が描かれていた。
  
  清集館で鯉料理を食する。
  佐々木都さんは、清集館の女将さん。鯉料理が名物と聞きつけ、
 昼食をいただく。まずは鯉の甘露煮の大きさに驚嘆する。直径10
 ンチを超えていただろうか。ウドの炒め物、緑の菜など野菜料理の
 盛り合わせ、さらにみそ味の鯉こく。
 独特の香りの鯉料理はやまねこの大好物である。

 料理を堪能したころ、佐々木さんが、丸岡秀子の思い出話を語って
 くださる。思い出の写真が拡大して展示用に保存してあるのを眺め
 る。せいたかさんが、ビデオカメラに収めている。この映像を、
 526日の勉強会で映写しようとの目論見である。

 やまねこ一行の慌ただしい日程にもかかわらず、泰然と構えて良
 い話を語ってくださった佐々木都さん。旅館の経営に長年携わるこ
 とで自身をきたえ、内面をつよくした女性。旅館経営も、教師の仕
 事も、どちらもサービス業。どうやって、それぞれの場で、人に接
 したらいいのか。こんな切り口の話が伺える新しいロールモデルと
 して、これからも臼田通いをしなくては、とやまねこは思ったので
 した。
 
 ●午後には、高速道路経由で、上田の別所温泉付近、前山寺と無言
館を訪問した。そこにはまったく別の時間が流れていた。

526日(土)「丸岡秀子ひとすじの道」は500円の有料であ
る。前売り券には八角形のマークが描かれ、中に白抜きで「ちの男
女共生ネット」の文字が書かれている。

切符はせいたかさんのデザイン、印刷。八角形のマークは、丸岡秀
子の通った、中込小学校の太鼓楼から取ったシンボルマーク。この
切符は、丸岡秀子の著作をめぐっての今後のちの男女共生ネットの
活動を象徴しています。

どうか手に取って、眺めてくださいますように。


うらおもて・やまねこでした。   

2012年5月1日火曜日

女たちが運営する、ちの男女共生ネット、会員募集中です!


@@@@やまねこ通信193@@@@

426日(木)ちの男女共生ネット、キックオフの会が無事
終わりました。趣意、活動方針、規約などが参加者によって
承認され、ここに正式に、発進することができました。

キックオフの会では、準備委員を務めていた7人の他に、7
の会員が参加してくださいました。初対面の方もあったので、
自己紹介から始めました。それぞれの持っておられる背景が
少しずつ分かって、これからが楽しみです。

じかに準備に携わったみなさま、見守ってくださったみなさ
ま有難うございました。ご報告が遅くなってごめんなさいね。

以下は、当日承認された、趣意書です。

ちの男女共生ネット・趣意書2012426日(木)

男女共同参画基本法成立以来10余年間、その進展は鈍いま
までした。男性たちは、「社会全体の問題」とみなすことな
く「女たちの小さな問題」ととらえていました。私たちの周
辺では、伝統的ジェンダー分業、すなわち男は外、女は内と
の考えがなかなか改まることがありません。

一方で、新自由主義経済の下、いわゆる「構造改革」以来、
若者たちの就業難が悪化し、デフレ経済の下、改善の兆しが
見えず、非正規雇用の中で少子高齢化が進んでいます。

政治、経済、学問研究などの、社会活動のあらゆる分野にお
いて、女性が政策決定に参加することで、社会を活性化させ
ることが、国外の調査で確かめられています。ところが、こ
の国では、いまなお理解を得ることがありませんでした。

同時に、今日なお、家庭、学校、企業、様々な団体での、D
V、性暴力、セクシャルハラスメントが後を絶ちません。こ
のことが、女たちから就学、勤労の機会を奪っていることに
も注目する必要があります。

今後、私たちの社会を未来につながる住みよい社会にするた
めには、女たちの活動の場を広げ、様々な政策決定に参加す
る機会を早急に増大することが必要です。

社会における男女平等の実現は、女性の権利尊重という当然
の正義の実現であるばかりではありません。男女平等の実現
なしでは、この国の社会は、その持てる力を発揮することが
できぬまま、未来を放棄することにつながるのです。
男性に対する「男だから」「男らしく」の強制の長い重なり
が、自殺率を高めてはいないでしょうか?
一方で、女子たちは、その将来への希望を、今なお「女だか
ら」と、取り下げてはいないでしょうか?

本会では、これまで女たちを分断していた様々な要因、生ま
れた地域、職業、年齢、既婚、非婚などの違いを乗り越え、
女たちの連帯を図るために立ち上がりました。

女性の社会的地位の向上と反戦の意思に生涯を貫いた信州の
先駆者、丸岡秀子にならって、私たちは、歴史に学び、地域
に学びながら、活動を展開してゆきます。

女たちは男女平等の視点を獲得し、社会とつながることで、
自らの持てる力を強化し、内面をつよくすることが出来ます。

本会は、社会のあらゆる面における男女平等について学び、
語り合い、さらに様々な形での実現を図る、自発的かつ任意
の女たちが運営する団体です。

3.11は「第二の敗戦」でした。
今こそ、「女・子ども」からの民主化を、草の根から立ち上
げるための、千載一遇の機会です。
(以上)。

今後の行事予定:年6回、原則奇数月最終土曜日に開催します。
日時
会場
行事
2012
526
午後1時~4
諏訪東京理科大学 

4号館432
  丸岡秀子記録映画『ひとすじの道』上映会(90分)
とワークショップ。
丸岡秀子の生涯に、「私たちの物語」を見つけよう。
728

午後1時~4
会場:家庭教育センター
丸岡秀子著『ひとすじの道』1,2,3(偕成社)の読書会。
3部にわたる原作は、どこが興味深かっただろう?
929

午後1時~4
会場:家庭教育センター
鹿 鹿野政直・堀場清子著『祖母・母・娘の時代』(岩波ジュニア文庫)の読書会第1回。
「人間」の歴史とは異なった女たちの歴史の基本。 
1124

午後1時~4
会場:未定
鹿「子ども時代に何を食べたか」を語り、書き、食事を作る会。参考『10代に何を食べたか』平凡社ライブラリー。地域の老賢女に、教えを乞う。
13126

午後1時~4
会場:家庭教育センター
丸岡秀子著『物価と家計簿』を参考にして、経済についての講演会。
秀子は経済学を勉強した。自立に欠かせない知識。
330

午後1時~4
会場:家庭教育センター
鹿野政直・堀場清子著『祖母・母・娘の時代』(岩波ジュニア文庫)の読書会第2回。
知名人だけではない、女たちの歴史に、自分の歴史を重ねてみよう。
525

午後1時~4
会場:家庭教育センター
丸岡秀子著『日本農村婦人問題』の読書会

秀子の出発点。田村俊子に促されて書いた最初の出版。初めて農村女性に焦点を当てた画期的な本。
(都合により変更の可能性があります)。


会員を募集しています。年会費1000円。
6回の行事に無料で参加できます。
ご連絡先:藤瀬恭子 kfujise@po30.lcv.ne.jp
趣意書にピンときた方は、ご連絡ください。


うらおもて・やまねこでした。