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2012年8月15日水曜日

「男女平等指数」Gender Gap Indexとの比較で、日本女子サッカーなでしこチームの本当のスゴサが分かる!


@@@@やまねこ通信214@@@@

倫敦五輪が終わった。女子サッカーの試合は全部見た。8
10日早朝3時半に目覚まし時計を掛けた。実は前日、間違え
て同じ時間に目を覚ました。

結局、日本代表女子チーム、なでしこジャパンは決勝戦で
アメリカに負けた。見ながら思った。なでしこと米国女子
チームでは相当違う。米国のパスは、早くて長い。あっと
いう間に、相手陣地に入り込んでくる。むしろなでしこが
よくぞ失点を2点に抑えたと思った。

川澄が米国ゴール側のコーナーでボールをキープしても、
パスする味方が間に合わないことが幾度かあった。米ゴー
ル前で攻撃可能な地点までボールを運んでも、横のパスを
繰り返し、縦のパスができぬまま、中途で奪われてしまう
ことが繰り返された。

米国のゴール前のディフェンスが固すぎた。話は変わるが
卓球では中国の水準が高すぎたと語られているが、サッカ
ーの米国も、それと同列ではなかったかと、やまねこは思
った。

最後に丸山が交代で出た。彼女は今期で引退予定の選手。
全員参加の栄光のため、勝敗を度外視した起用ではないか
と思った。最終的に銀メダルがよくぞとれたと思った。

準決勝のフランス戦は、フランスが多数のゴールを蹴りな
がら不成功に終わった。だからゴールキーパー福元の幾度
ものディフェンスが光って見えた。フランスチームがもっ
と精度の高いゴールを仕掛けていたら、とてもなでしこチ
ームは守り切れなかっただろう。

それにしても、どうして沢穂希を中心としてた日本女子サ
ッカーが、競技人口のまったく異なり、パワーに相当の開
きがあると見える米国女子サッカーに伍して闘えたのだろ
う?

こんなことを考えているうち、「日本女子サッカーが世界
と互角に戦える本当の理由」(東邦出版)という新刊本の
出たのが見つかる。

●米国との決勝が行われた早朝の時間に、国内各所におい
て、テレビを中継する会場が開かれていた。これは女子サ
ッカーに限らず、他の競技においても同じように共同で観
戦できる場所である。

けれど、そこに集まった女性たちが、沢穂希をはじめとす
るなでしこチームから「生きる上での励ましをもらった」
と、次々に語っている場面が映し出されている。

女子サッカー選手が女たちのロールモデルになっている。
澤穂希たちの活躍が社会現象として受け止められている。

●毎日新聞は811日(土)、一面を割いた記事で「沢穂希 
集大成の銀」「すばてはサッカーのために」「やっと手に
入れた」とのタイトルのもと、銀メダルを両手でささえる
沢穂希の写真入りで長文のストーリーを掲載している。

東京のサッカークラブで男子に交じり、小学校2年から本格
的にサッカーを開始した。6年の時、「全日本少年サッカー
大会」の都大会では、「少女」だったから出場が認められ
なかった。文集に「男みたい。でも女」と書いた。

15歳で代表入り。96年アトランタ五輪に初出場。一次リー
3戦全敗。2000年シドニー五輪は不出場。景気低迷の中、
企業が女子リーグから撤退。プロ契約の打ち切りが相次い
だ。04年アテネ五輪前に右膝靭帯損傷の大けが。08年北京
五輪はベスト4止まり。

今回の倫敦五輪を前にして34日突然のめまいに襲われる
。「良性発作性頭位めまい症」と診断され、一か月以上の
ブランクを過ごす。

やまねこが最も興味をひかれたのは、次の箇所。
沢穂希は、筋力全般は平均的な選手より低いと言う。
「普通のバランステストや筋トレ、腹筋をさせても普通以
下。あんなプレーができる選手が、なぜこなせないのとい
うくらい」と所属チームのトレーナーは言う。

沢穂希の独特の動きをもたらしているのは、自他ともに認
める独特の「勘」だという。勘は数字には表れない。

昨年夏のワールドカップ優勝以来、CMに多く出演した。
沢穂希は、出演料のかなりの額を所属チームに配分する契
約にしているという。仲間の選手の環境を少しでもよくす
ることにつなげようと尽力している。

「出ることが目標だった五輪で、今回は頂点を争うまでに
なった」沢穂希ひきいる女子サッカーなでしこチーム。

今回の倫敦五輪は、この国のメダル獲得の新記録と伝えら
れている。どんなことであれ、「日本は、国際比較何位な
の?」とランキングに目ざといメディア。毎日新聞の沢穂
希物語と同じ紙面にも、国別メダル表が書かれている。

●ここで、沢穂希たちなでしこチームの五輪銀メダルがど
れほどものすごいものであるかを、やまねこは独自の仕方
で示したいと思う。

今回の倫敦五輪女子サッカー決勝リーグに勝ち残った8か国
は次の通りであった。

米国、日本、カナダ、フランス、ニュージーランド、ブラ
ジル、イギリス、スウエーデン。

これらの国々の多くは、先進7か国G7のメンバーである。
2010年IMF発表のGDPランキング(142カ国)を眺めよ
う。

1米国、2中国、3日本、4ドイツ、5フランス、6イギ
リス、7ブラジル、8イタリア、9カナダ、10インド、
11ロシア、12スペイン、13オーストラリア、14メ
キシコ、15韓国、16オランダ、17トルコ、18イン
ドネシア、19スイス、20ポーランド、以下、ベルギー、
スウェーデン、サウジアラビア、台湾、ノルウエー、オー
ストリア、アルゼンチン、南アフリカ、イラン、対、デン
マーク、ギリシアである。
http://memorva.jp/ranking/world/wef_gcr_imf_gdp_2011.php

以上のGDPランキングを眺める限り、上位の9位までに6
カ国が入っており、サッカー上位の国は豊かな国の多いこ
とが分かる。スウエーデン21位、ニュージーランド52位で
ある。

●もうひとつの基準を紹介しよう。やまねこ通信ではこれ
までいくたびも言及してきた世界経済フォーラム発表のGen
der Gap Index、「男女平等指数ランキング」である。
http://memorva.jp/ranking/world/wef_gcr_imf_gdp_2011.php

国内での女性の政治的参加の度合い、経済的力と参加の度
合い、健康長寿と、教育の度合いが比較の基準である。

先進国は近代化が進んでいるから男女平等が普及していると
考える人々が多い。

今回の五輪女子サッカー上位8か国、米国、日本、カナダ、
フランス、ニュージーランド、ブラジル、イギリス、スウ
エーデンの諸国は、経済的先進国でGDPの高い国が多か
った。

はたして女子サッカーの強い国は、経済的に豊かで、男女
平等の進んだ国が多いという仮説が当てはまるだろうか?

Gender Gap Index、「男女平等指数ランキング」2011年版
によれば、世界134カ国中、男女平等の進んだランキン
グ最上位の国々は、アイスランド、ノルウエー、フィンラ
ンド、スウエーデン、アイルランド、ニュージーランド、
デンマーク、フィリッピン、ドイツ、スペイン、ベルギー、
オランダ、英国、米国、カナダと並ぶ。

米国、日本、カナダ、フランス、ニュージーランド、ブラ
ジル、イギリス、スウエーデンの五輪ベスト8で、男女平
等世界ランキング上位に入らない国が二つある。ブラジル
82位、それに日本の98位である。

次の表は、女子サッカー世界ランキングの表に、Gender 
Gap Index、「男女平等指数ランキング」をやまねこが記入
したものである。左の欄には、サッカーの世界ランキング
と、五輪での順位。真ん中には国名。G7の国には★のマ
ークを付けた。右の欄には、Gender Gap Index、「男女平
等指数ランキング」を記入した。20126月現在の序列であ
る。

Jun 2012
女子サッカー
世界ランキング
Team,   G7
 Gender Gap Index 
世界ランキング
1     五輪 1位
USA      ★
    17 位
2
Germany   ★
    11 位
3     五輪 2位
Japan     ★
    98 位
4     五輪 8位
Sweden
     4 位
5     五輪 6位
Brazil
    82 位
6     五輪 4位
France    ★
    46 位
7     五輪 3位
Canada    ★
    18 位
8
Korea DPR
    *
9     五輪 7位
England    ★
    16 位
10
Australia
    23 位
11
Italy      ★
    74 
12
Denmark
     7 
13
Norway
     2 
14
Netherlands
    15 
15
Korea Republic
   107 位
16
Spain
   12 位
17
Iceland
    1 位
18
China PR
   61 位
19
Finland
    3 位
19
Russia
 43 位
21
Scotland
   16
22
Ukraine
   64 位
23    五輪 5位
New Zealand
    6位
24
Mexico
   89 位
25
Czech Republic
   75 位
26
Switzerland
   10 位
27
Nigeria
  120 位
28
Colombia
   80 位
29
Thailand
   60 位
30
Belgium
   13 位

●経済的に豊かで、男女平等の進んだ国は女子サッカーが
強い!この仮説を転覆させる最大の例外が、日本であるこ
とがお分かり頂けるだろう。

男女平等指数が134カ国中98位。逆に言えば、「女性
差別の激しい国ランキング」上位から36番目の国、日本。

この経済力と男女平等のバランスを著しく欠いた不思議の
国の女子が、五輪サッカーの銀メダルを取ったことが世界
の大ニュースなのである。

今回の五輪ではサウディアラビアから初めて女子選手が出
場したことが伝えられた。宗教上の理由で髪を覆っての登
場だった。

このことと同様に、なでしこチームの勝利も、五輪史上に
残る記録ではないかとやまねこは考えている。

それにしても、どうして日本女子サッカーが、競技人口の
まったく異なり、パワーに相当の開きがあると見える米国
女子サッカーに伍して闘えたのだろう?

それは、沢穂希のたぐいまれなる個人の力によることが大
きかったと、やまねこは現在思っている。身体能力は普通
の選手。けれど、独特の勘の持ち主。子ども時代から、「
女のくせに」という男たちの罵りに屈することなく、自分
の望むところを追求した経歴の持ち主。

なでしこチームの五輪銀メダル獲得は、やまねこにとり、
スポーツの世界に止まらないインパクトある出来事に思え
る。なでしこチームの銀メダルは、スポーツの世界に噴出
した、この国の社会問題である。

五輪が終わってみれば、朝日新聞とNHKの高校野球が画
面を埋め尽くす。戦前の中学野球を戦後引き継いだ男子高
校球児の球宴!これが当たり前のように受け止められてき
た。女性の登場はチアガールの役である。

正月は読売新聞社と日本テレビの大学駅伝。これも男子だ
けである。

女子サッカー銀メダルを無駄にしないために、国内のスポ
ーツ行政のすべてが今後見直しを迫られるべきであろう。

スポーツの世界がどのような改革を迫られるのか。そのこ
とについてはまた稿を改めることにしよう。


うらおもて・やまねこでした。


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