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2016年1月22日金曜日

やまねこ通信342号:一陽来復、「行方不明の時間」、やまねこと「寒戸の婆」

@@@やまねこ通信342号@@@

今日は青空が広がっている。正月18日になって今年初の
大雪が降った。梅の便りさえ囁かれた小春日和の年末から
正月にかけての日日は不気味な期間だった。まとまった雪
が降ったことでやまねこはほっとしている。大寒である。

9月23日の投稿をもって休眠に入ったやまねこ通信。年
賀状やメールで、その不在に触れてくださる読者がありま
した。ご心配かけています。

やまねこのようなアラセブの歳がブログを長期に休むとな
れば、人々の想像の向かう先はこんなところでしょう。高
齢からくる気力体力の衰え、足の病の再発療養、思いがけ
ぬ転倒からくる引き籠もり、老人性うつ、物忘れのひどさ
が認知症の域に踏み込んだなど。いずれも渋紙色の皮膚を
したやまんばの身にやがて降りかかる症候群であることは
間違いのないところ。いや、もうすでに幾つかを実現して
るかもしれません。

と思う矢先、これら受動的なやまんば症候群と微妙に重な
るかに見えながら、実のところ能動的でもある「行方不明
の時間」という詩に出会う。

これだよ、これ!
これまで幾度、この「行方不明の時間」にやまねこは潜り
込んだことだろう。
               
「行方不明の時間」

人間には
行方不明の時間が必要です。

なぜかはわからないけれど
そんなふうに囁くものがあるのです

三十分であれ 一時間であれ
ポワンと一人
なにものからも離れて
うたたねにしろ
瞑想にしろ
不埒なことをいたすにしろ
遠野物語の寒戸の婆のような
ながい不明は困るけれど
ふっと自分の存在を掻き消す時間は必要です

茨木のり子の作品。

「遠野物語の寒戸の婆」は神隠し物語のひとつ。若い娘が
木の下に履物を残し村から行方不明になる。30年後村に
戻った時は老女になっていた。引き止める親族の手を振り
切って老女は山に戻ってゆく。風のひどい晩だった。その
後、ひどい風が吹く晩に人々は寒戸の婆について語りあう
という。

そんなわけで、この3ヶ月余のやまねこ通信の「不在」は、
寒戸の婆ほどながくはないけれど、寒戸の婆の境位にほど
近いやまねこの「行方不明の時間」なのでありました。よ
ろしくお見知りおきをお願い申し上げる次第。

▲さて「寒戸の婆」モードから、「やまねこ」モードに転
換します。

長野県軽井沢町のスキーツアーのバス事故は気の毒だった。
12人の大学生が深夜のスキーバス転落のため命を絶たれ
育んできた夢と希望が断ち切られた。親族にとっても友人
にとっても諦めきれない思いであろう。バスのブレーキ異
常などは見られず、65歳の運転手の責任が重いとの調査
結果が出ている。

死亡した65歳の運転手は深夜の長距離大型バス運転に熟
練した人ではなかった。小型バスで同じ道を往復する仕事
をしてきた。今回のバス会社では多忙なシーズンの臨時運
転手の立場。65歳になって自信がもてない乗車勤務を前
に「ノー」と言えなかったのだろうか。助手席にはベテラ
ン運転手が同乗していた。ベテランが、予定の高速道ルー
トを中途で下に降り、「訓練」のつもりで深夜の不慣れ道
路の走行を指示したと見える。

規制緩和以後、参入が増えて競争激しいツアーバス業界。
ツアー会社は安く買い叩く。バスを眠らせておくより動か
したほうが少しでもカネになると、バス会社は無理を承知
で引き受ける。乗務員二人制になっても人件費が増えぬた
め、運転手は動けば動くほど時間単価が安くなる。下請け
に過酷な社会の構図がここにも繰り返されるブラック労働。
だからバスを運転した運転手の責任は当然のことだが、彼
自身も被害の一面があるのではないだろうか。加害者にな
らないためには乗務拒否以外になかっただろう。格差社会
の底辺の運転手にとり、乗務拒否は失業を意味していただ
ろう。

▲さて、昨日は、「寒戸の婆」から「やまねこ」モードを
復活する作業をした。
やまねこは何を隠そう、日記を毎日休むことなく書いてい
る。その日に起こった出来事を書き留めないことには気持
ちがわるくて一日を終えることができない。20代前半か
らほぼ連日である。3年連用日記を使う時期が長かった。
この15年はパソコンで書いている。だから、過去のある
出来事を復元したければ、日付をたよりにわりあい容易に
見つけられる。

昨日は、昨年6月以後の日記をプリントアウトした。A4版
表裏に印刷してゆくと5時間ばかりかかった。印刷したも
のに読みふけった。幾人もの「わたし」がみつかる。

▲今年の年賀状は、「一陽来復」を祈念するものだった。安
倍政権の恐れを知らぬ戦争法の採決強行。身近なところでは
周囲の親しい人々の間に、救急車での入院、理不尽な咎めを
受けるなどの被害が相次いでいる。やまねこもそのひとりで
ある。易経の言葉を意訳した言葉を付した。

 太陽が夜の闇に姿を隠し、この世を暗黒が支配している。
 けれど明けぬ夜はない。また再び、陽は確実に昇る。その
 時、雷の一条の光りが、地上に光明を放つ。
本年のご多幸を、お祈り申し上げます。
    
本年も「やまねこ」モードと「寒戸の婆」モードを行ったり
来たりしながら発信する予定です。
どうか、お見限りなく訪問してやってくださいますように。



▲お知らせがあります。

戦争をさせない1000人委員会・すわ 
「第3回小さな勉強会」

きてみて!
もう私たち、だまってられない。
――戦争をさせないために、私たちにできること、
  違憲訴訟ってなあに?

多数の憲法学者が違憲とみなし、数万人のデモが国会を取
り巻きました。しかし2015年9月戦争法が成立し、自
衛隊が世界中に軍事展開する可能性が生まれたのです。私
たちの「平和的生存権」が侵害されています。安倍政権の
立憲主義破壊に対して私たちに何ができるでしょう。今回
は、法制度の側からどんな活動が可能かを学びます。

日程:1月24日、午後2時~4時、
会場:諏訪市公民館2F
   講師:弁護士・滝澤修一さん 
(滝澤修一法律事務所、上田市)
      昭和26年丸子町生まれ。
平成2年度、長野県弁護士会副会長
現在、長野県弁護士会憲法プロジェクトチーム座長
日本弁護士連合会憲法問題対策本部事務局
   入場料:無料
   託児:無料
   
  あさって日曜の日程です。
  諏訪地域の方々、万障を繰り合わせ、足元に気をつけな
  がらご参加くださいますようにお願い申し上げます。

        


  うらおもて・やまねこでした。

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